オーディオの黄金期 スピーカー 2020.6.17
オーディオの黄金期は、今から50年位前の1970年頃を言います。 その頃は家電ののメーカーも、こぞってオーディオに参入して 大変な賑わいを見せていました。 高度成長期でもあり、オーディオ製品は飛ぶように売れたのです。 その頃のスピーカーシステムは、国産の場合は海外製品に追い付かず、音質的には不十分なものでありました。 当時のスピーカーメーカーは、パイオニア、ナショナル、フォスター、コーラル、三菱などで、ユニット単体も販売していました。 高級品専門のYL音響やゴトウユニットはホーンを主に、オンキョーなども単体ユニットを販売していました。 ホーン型のユニットは、少なからず海外製品の影響を受けていました。 映画館などでは、アルテックのシアターシステムが席巻し ホーン型のリファレンスとされました。 流石に家庭には導入できず、小型のブックシェルフ型のスピーカーシステムが開発されました。 当時のスピーカーというのは、高さが90センチ幅が60センチ位が普通で、スピーカーはスリーウエイと言うのが標準推奨の箱。 つまり、かなりの大型でありました。 低音は、耳当たりのよい音域のみ強調するタイプのバスレフがほとんどでした。 所謂市販のステレオセットは、本当の低音は出ておらず、ボン付く低音であったと記憶します。 メーカー各社単体でユニットを販売していましたが、これが中々の曲者でした。 先ず、低音が出ません。 これはもう、何処のユニットも 同じでした。 推奨の大箱でも出ませんので、小型の箱になればなお出ない。 市販品も、似たり寄ったりでしたね。 それで、大きなスピーカーユニット、大型のシステムとマニアはエスカレートしていきました。 何せ、普通じゃ低音が出ないのです。 聴感的に低音が出ると思っている帯域は、実はかなり周波数は高いのです。 100HZ前後ですね。 50HZだと、-10dbとか-15dbとかなり音圧は下がりますので、鳴らないのです。その辺りにバスレフでピークを作って持ち上げないと 低音として聞こえないし出ている感じがしません。 バスレフは特定の帯域を持ち上げられるので便利ですが、それ以下は出なく なる(聞こえなくなる)弊害があります。 スピーカーユニットの性能を出すならば、密閉型になるのです。 当時のスピーカーユニットの低音が出ない理由は、振幅にあります。 現在のスピーカーユニットは大幅に振幅を取れるように エッジに工夫があります。 低域は空気を揺らしてなんぼの世界なので、今どきのスピーカーに昔のスピーカーは敵いません。 アンプや位相反転で持ち上げない限り、低音は出ないのが今も昔も変わらない、50年経っても変わらないオーディオの世界でもあります。 ホーン型のスピーカーは開口部で低音の再生域が決まりますので、何メートルもある開口部=部屋がほとんど開口部ぐらいのシステム を作る人もいますね。 これは家が揺れます。 20HZとか30HZは低音ですが、所謂気持ちの悪い部分の音になります。 暗騒音などは、そのぐらい低いです。 体感する音であり、聞く音ではありません。 実世界では存在する音なので、まあ出ると出ないとではオーディオ的にどうなのかと言う事ですが。 このような低音域の再生は、スピーカーは大変に苦手です。 ヘッドホンで聞いている人は、スピーカーシステムの音に不満を持つ と思います。 脳内環境の再生と、スピーカーシステムの音の違いは大きいので難しいところですね。 低音域の問題がありましたが、中音域もあるのです。 これは出る出ないと違って、更に厄介な問題です。 色がつくのですね。 どのようなスピーカーシステムでも、この帯域でしっかりと色がついてしまいます。 これは避けられない問題で、50年経っても解決はされていません。 振動版と指向性の問題なのです。 それとそれらは、聞く環境で 変化します。 部屋の数ほど、周波数特性は変化します。 同じスピーカーシステムでも、同じには鳴らないのですね。 部屋の影響を受けないためには、ダイレクトに耳に直進する必要がありますが、部屋では不可能です。 ユニットの素材の問題もあります。 その素材は紙からメタルまで、様々に作られています。 素材によって共振周波数が決まりますので、 その対策も考えないといけません。 薄くて軽いと、大きな入力に耐えられません。 厚くて重いと、そういう音になります。 高域の問題もあります。 スピーカーを帯域ごとに揃えるのは、スムーズに帯域を伸ばすためであり、それ以外のメリットは多くありません。 音は基本的に、点音源がベストなのです。 そうでないと、位相が合いませんし素材の違いは色付けにもなります。 昨今では、オールメタルなど同一素材のスピーカーシステムが増えてきています。 こういうとスピーカーシステムは、中々の問題児だなと思えるかもしれません、 でも、スピーカーシステムでしか味わえない世界が リアルオーディオなのも事実です。 昔は、鳴かぬなら鳴かせて見せようで、マルチアンプシステムが登場したりしました。 電気代の無駄、以外の何物でもありません。 合わせてみようこのカーブで、イコライザーアンプが出たりしました。 そこまで弄ってどうするねん、という感じですね。 アンプの無駄、機材の無駄、電気代の無駄は言うに及ばず、何のことは無い音を加工しては写真のレタッチと同じ事。 真実こそ、素のままこそオーディオなのですよ。 デジタルが入った時点で、実は全てが偽物の世界になってしまうのです。 今も昔も、スピーカーシステムは難しいです。 |