オーディオの黄金期あなたの知らない時代         2020.6.19

今のオーディオの世界は寒いほど、当時は何もかもが熱かった



日本におけるアンプは、1970年までは真空管の時代でした。 以後はトランジスタになり、現在に至っています。

つまり、1970年頃のトランジスタアンプ(=ソリッドステートアンプ)は半導体初期の製品と言う事になります。 

アンプとして、出力に限りがありました。現在のアンプは、当時と比べても大出力です。

これは、トランジスタの性能が向上したことに大きく起因します。 

トランジスタの数を増やせば発熱が大きく、ヒートシンクも電源トランスもコンデンサも、巨大になります。 

それを嫌って、当時のエンジニアは軽薄短小を模索しました。 でも、結果はオーディオに軽薄短小はあり得ないと知ることになります。  


しかし、無駄という訳ではなく数多の分野に軽薄短小は生かされるようになりました。 

パワーICですね。 IC技術はパソコンを進化させ、極小のアンプをも実現するに至りました。 

純オーディオの世界では、基本を変えることは出来ませんでしたがそれがために、オーディオはどうあるべきかが分かったのです。


筆者は生粋のソニー党ですが、アンプについて言うとソニーのアンプは軽くて「なんだろなあ」と思ってました。 

案の定売れなかったと思います。ソニーは、世界初と世界最小がモットーでした。 軽薄短小の走りだったのです。

ソニーのソニーらしき所は、失敗を恐れない事。 以後のアンプは非常に重くなりました。 電源も強化し、シャーシも剛性を上げ、

オーディオの雄になりました。

オーデイオに限らず、ビデオも皆さんご存じの通り。 性能で上回る自社開発製品諦め、VHSを採用しました。 実にソニーらしい。

しかし、ご存じの通り報道などの分野ではソニーのカメラと記録システム(ベーターカム)は広い支持を得ています。


 多分皆さんが知らない、ICラジオ  1967年 
 
本物を作れるのはソニーだけでした。 もちろん買いました。
    ソニー ソリッドステート11   1965年 
名前の由来は11個のトランジスタ。 ラジカセがない時代。
       
ソニー TC-211 1695年 真空管式オープンリールテープコーダー。 
この当時の録音は、今もあります。
    ソニーはレコーダーじゃなく、テープコーダーと呼んだ。
登録商標です。 
       

ナショナル(=テクニクス・パナソニック)の技術も凄かった。 今ではどこのメーカーも採用している、ダイレクトドライブ方式の製品は

テクニクスが世界で初めて開発販売したメーカーです。

スピーカーの位相を揃える、リニアフェイズスピーカーもそうでした。 スピーカーのボイスコイルの位置を一致させるために、

スピーカーは階段状になりました。 まあ、良くやったと言うかアマチュア的な発想を製品化する力は凄かったです。

スピーカーシステムを自作で構築している人は、普通にリニアでしたから・・・。

 テクニクス  SB-7000  1977年  100,000円  36キロ     こう言う面倒臭い構造の物を、商品化した意義は大きいと思います。
       
 周波数特性。 非常にフラットだと思います。 
それと、聴感的は別ですが。
     
       
当時は大々的に宣伝していて、聴く機会も多かったです。

このシリーズは廉価版も出ましたが、コストダウン製品に

メリットは少ないと思います。 まあ、大きく場所を取ります。


今どきと違って、箱はやはり当時の箱かなあと言う感じがあります。

リニアフェイズスピーカーの思想は、大型システムでは

今も根付いて採用されています。 

大きいほど、位相がずれるからです。

現実的かと言われると、どうでしょうか・・・。

テクニクス SB-8000  1979年 150,000円  46キロ     テクニクス SB-10000  1977年  600,000円  80キロ 
       
       ※ 画像・資料は「オーディオの足跡」様から引用
気になるのは価格ですね。

貨幣価値はおよそ2倍ですので、当時の価格に2倍をかけるのが現在の価格に相当します。 ただ、物価的には4倍と思いますので、

現在製品化した場合は、最低でも4ないし5倍をかける必要があると思います。


BACK