軟調フイルムとは 2010.5.30


さてさて、じゃわいじじいの出番のようじゃ。
今回は軟調フイルムについての薀蓄じゃぞい。
むははははは。


さて、
軟調なコントラストを再現するフイルムは主にポートレート用もしくは写真館用として発売されていたのう。
もちろんプロ用であり多くは肖像写真等のネガフイルムである。わしは当然ながら多くの種類のフイルムを試用していた。
これらのフイルムは自家処理では現像もプリントも実に困難を極める。要するに手強いのだ。

巷ではフジフイルムが業界を席巻しておった。(今もだけど)
あとかコニカね。この二大メーカーのフイルムははっきり言ってしまうと、コントラストの違いと価格の違いであった。
ありとあらゆるフイルムを使いこなすわしじゃったが、常用するフイルムは35mmの場合はコニカDD200であった。
理由は価格が安かったから。ただそれだけであった。当然自家処理するのもDD200が多い訳で、撮っては現像の繰り返しで、ほとんどはプリントもぜずに保管されている次第じゃ。

実際どういうフイルムだったかというと、これは実にコニカらしい優れたフイルムだったといわねばならない。発色は地味で当然のようにコントラストは低い。しかしよくよく考えると見た目に非常に近い中庸な再現をする稀なフイルムであったのだ。
もちろん貴方は知らんのう。あははははは。残念だのう。

欠点は感度200。いやいや高感度は諸刃の刃じゃ。つまり高感度ゆえ粒子が目立つ。それと地味な色再現性。
周知のように人間には記憶色という概念がある。
つまり、やや派手ぐらいで丁度良く感じるのが人間の感覚なのだ。
まあ、そういう点かのう。

以下比較作例を示す。いずれも感度200、ネガフイルム。
掲載の都合上、フイルム撮影面のおよそ2/3ほどをトリミングして掲載しておる。

注釈にもあるが、髪の毛の表現に注目してもらいたい。
女性の髪の毛は太さも色もしなやかさも百人十色だろう。
その点が人物用フイルムの要点である。また肌の表現にもどのような違いが見られるか
感じてもらいたい。


作例1 コニカDD200
このサイズでは粒子が目立たないが、相当に粗い。
色は薄いがディテールは良く出ている。
肌の透明感は素晴らしい。
コントラストが低いと言ってきたが、実はそうではない。
階調が広いのだ。

この写真は、トキナーATX80-200mmF2.8を購入後テスト撮影
のため街頭にて撮影したものである。



使用カメラニコンF90X。
作例2 フジG200
一見DD200と違わないように感じるが、色のりは良い。
粒子はDD200よりも目立たない。
コントラストは日陰を考えるとやや高い。




この写真は、F50Dを購入後テスト撮影のため
街頭にて撮影したものである。
作例3 フジG200
この状況でははっきりとコントラストの高さがわかる。
発色も良くネガフイルムの階調も出ている。
髪の毛のトーンの違いは下の写真と比べると
良くわかるのではないだろうか。



使用カメラニコンF50D。
作例4 コニカDD200
日差しの当たっている状況だが、洋服のトーンや
髪の毛の影など、非常に階調性に優れているのが
感じられる。
髪の毛のトーンは素晴らしいの一言。
肌の透明感もこのフイルムならではの出方である。




使用カメラニコンF90X。
※ ニコンF50Dテスト、及びトキナーATX80-200mmF2.8テスト用ネガフイルムによる。撮影年1995-1996年。(自家現像)


軟調な写真は実は、建物の撮影に最も適しているのだ。路地裏などの陰影の強い条件下では軟調なフイルムが効果的である。
しかし、実際には路地裏写真で使うことはほとんどなかった。
理由は、
発色と粒状性だったと記憶している。

作例のように、コントラストがないだけの写真が軟調フイルムによる写真ではないことが良くお解かりと思う。
コントラストがあってなおかつ柔らかく、しかも繊細なのがフイルムなのだ。
残念ながら、東京写真手持ちのデジタルカメラではこのようにはならない。


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