補聴器をすれば健常者と変わらない?。

補聴器をすれば聞こえは健常者と変わらない聞こえになるのでしょうか。
残念ながら、そうはなりません。

補聴器はどんなに高度化されても、どんなに高級な補聴器でも、音を増幅するだけと言う機能には変わりがありません。
つまり、感音性難聴や混合性難聴の人にはその特性がずっと付いて回ります。
感音性難聴や混合性難聴は神経細胞が破綻している事が多く、治療しても組織が再生することも復活する事もありません。

神経が損傷し音が歪んで聞こえる人は、どんなに高性能な補聴器を使っても歪が消えることはありません。増幅されるだけです。
神経細胞は低音から高音まで規則正しく並んでいますが、神経細胞のある部分が損傷した場合、特定の音が聞こえなくなるか聞こえにくくなります。
また、伝達機構の鐙骨などが溶けてセラミックや自分の骨で代用した場合、伝達能力は元のようにはなりません。

私にはピアノの右手高音部が聞こえないだけでなく、中音部の特定の音がかなり感度が落ち聞こえない状態です。1音の差は分かりますが、
半音はかなり分かりづらいのが実情です。これは、補聴器をしてもしなくても(音を大きくしても)変わりません。

手術の成果で聴力レベルは上がりましたが、弊害で補聴器の歪が目立つようになりました。自己の歪と機械の歪が重なり、今までの補聴器だと
音が割れて聞こえるのです。これがために、補聴器を買い替えました。高周波歪率が下がって各種機能が付いた分音は歪なく聞こえるようになりました。
厳密には自己の歪があるにせよ、入ってくる音がそれほど歪まないので聞きやすいのです。

日常の生活騒音も含め、かなりの部分満足する状態ですが、超低音・超高音は聞こえません。概ね200Hz以下は厳しく、2000Hzから4000Hzまで40dbにも及ぶ急な降下があるため高域は不安定です。

聴力に低域のダウンや高域のダウンがないフラットな耳特性の人は、充分な補聴器の恩恵が受けられると思います。

降下した帯域を増幅すればいいと考えがちですが、補聴器屋さんの話だとそれは無理との事でした。現状で補聴器の性能は出し切っているので、それ以上の増幅が出来ないのが一つ、もう一つは特定の帯域を増幅するとノイズも増加し、それに対しリミッターがかかったりし不自然な状況になると言う物でした。チャンネル数が多い弊害かも知れません。増幅器である以上、必ずノイズも増幅されるのです。

マイクには指向性がありません。360度の音を拾います。人間の耳は前方の音を良く拾うようにできています。これが一対あり前後左右の音の方向を教えてくれるのです。最近の補聴器には二つのマイクを内蔵し、音に指向性を持たせるようになっている物もあります。
ある程度後方の音が入らないと、非常に危険なのです。

片耳の聴力がほとんど聾状態の場合。補聴器は本当に補助の機械になります。音を聞く機械としては機能しません。
両耳が悪い場合、比較的聞こえる片方の耳に補聴器をはめる訳ですが、その場合方向感覚はゼロになります。
見えていればともかく、前後左右の音の方向が分かりません。私は会社で仕事をしていて、呼ばれた反対の方向を向くのが常でした。

使える耳が一つの場合、人と歩くのは常に補聴器のある方に人。私の場合右に補聴器ですから、常に人の左に並びます。
こんな状況は数十年続いています。左は聞こえませんから宴会などで座る時が最悪です。

補聴器の苦手な状況は、うるさい所です。リミッターがあっても、実際にはほとんど役に立ちません。それが以下です。

シュレッダーを作動させるとシュレッダーの音が優先されます。
電話はハウリングして通常の電話機は使えません。使えたにせよ、近くの話し声や笑い声が受話器の音声をマスクしてしまいます。
掃除機はだめです。
電車の中での話はほぼ不可能。雑音がマスクしてしまいます。
宴会は鬼門。全てが騒音と化し、話し声はほとんど聞こえず会話が成り立ちません。


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