ピアノ東京写真PLUS ピアノ編

絵はがきのような写真  2018.4.11

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私は写真をやって50年以上たちますから、大概のことは分かります。

写真を撮るのに今は、三脚も使いませんしストロボも使いません。 露出モードはプログラムモードのみ、つまり全部機械任せです。

露出補正もほとんどしません。 シャッターを切るのは物凄く速いです。 というか、ファインダーを覗いた瞬間にはシャッターを切っています。

これはコンパクトデジタルカメラでも同じです。 迷うことは一切ないのです。


実は・・・、そうではありません。  


歩きながら既に対象を探しており、多分に捉えたときには完成しているのだと思います。

ですから、絵はがきのような写真には絶対になりません。 撮る前に、こうしたら構図的に良いとか見栄えが良くなるとか、邪魔なものが入るとか

いちいち考えないのです。 ですから見た目素晴らしい、絵はがきのような写真とは無縁なのです。

美人は飽きると言いますね・・・、絵も然り。 

非の打ち所のないものは、飽きます。 絵はがきのような写真は、生活のために撮る写真なのです。

だからいつも思います、プロは大変だなーって。 息が詰まるよね。 あれこれ考えながら写真を撮るなんて、本意じゃないのだから・・・。


身の回りの、道端の雑草なんてプロは撮らないです。 いや、メンツが邪魔するので撮りたくても出来ないのが本音なのです。

モデルの撮影に、飽きれるほど写真を撮ります。 怖いのです・・・。 いや、失敗が怖いのじゃありません。

失敗することはプロはありません。 怖いのは評価なのです。 何十万円もかけて一枚じゃ、クライアントもモデルも納得しないのです。

それがために、フイルム入れずに空シャッターを切る事も日常です・・・、フイルム時代は。


その昔、プロ写真家は無駄にショットを重ねることはありませんでした。 何しろ素材が高く、無駄にできなかったのです。

つまり、一発勝負・・・、取り直しのきかない一期一会だったのです。

そういう意味では、今の写真家は恵まれています。  ただ、誰でも出来るようになってしまいました・・・、大きな誤算だと思います。


ピアノの欄なのに何故写真?と思いましたでしょうか。

ピアノも全く同じだと感じているのです。

何度も聞きたくなる演奏ってありますよね。  あーっ、この人の演奏素晴らしいって・・・。

完璧すぎる演奏って、残りませんよね・・・。


間違えたっていいじゃない。

壊れた鐘があってもいいじゃない。

私は音符に色を付けるの・・・。


そんなフジ子・ヘミング氏の言葉が


励みになります。


     


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