ピアノ東京写真PLUS ピアノ編

グランドピアノ  2019.8.9

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グランドピアノはピアノの中の王様・・・、しかしこれが普通なのだと思うところからスタートしなければ始まりません。

ピアノをやるからにはグランドピアノということで、なりふり構わずにグランドピアノを導入するのは賢者ではないです。

グランドピアノじゃないと感覚が共なわない、ピアニスト以外にはどうでしょうか・・・。 狭い部屋に押し込めるのは、賢者のすることではありません。


■グランドピアノは、響板を全開にして演奏できる。

■ピアノの左、後方、前方に充分な空間が確保できている。

■ピアノの右手に広い空間が確保できている。

■ピアノの天井高は4メートル以上が確保されている。

■ピアノを設置する部屋の広さは20畳以上を確保できている。

■二重窓、壁面は二重構造である。

■防音室仕様ではない。

■吸音・反射が充分に考慮されている。

■床面は振動することがない材料。


これは理想でもなんでもなくて、グランドピアノならば普通に必要です。 グランドピアノは畳二枚や三枚の広さでも十分に置けますが、置けるだけです。

条件を満たせなければ、音質はグッと低下します。 やたらうるさいだけの、グランドピアノになってしまいます。

ふたを開けず、ピアノのカバーをしたり・・・わざわざアップライトピアノ同様にして演奏してる人も多々見られます。

私の行く、楽器店のピアノ練習室は狭くて、グランドピアノの蓋は手前が開けられているだけの所がほとんどでした。(防音室でもピアノは隣まで響きます)

つまり、部屋の問題は近隣の問題・・・。マンションということもありますね。 グランドピアノの蓋、全開に出来ない環境なのです。

されどピアノ。 そういう人は、アップライトピアノや電子ピアノに戻らないです・・・。 

事を面倒にしているのは、楽器は真近で弾くものだからですね。 オーディオの世界はスピーカーから離れて、客観的に聞きますが

楽器はそのままに音が聞こえるので、問題なのです。 アップライトピアノとグランドピアノが、たいして違って聞こえてないのですね・・・。


音は同心円状に広がります。 基本、音は透過せずに、反射します。 反射したのがまた反射・・・を繰り返します。

反射を繰り返すと音が遅延します。 また音はある一点に収束もします。 うねりの原因はそれらによります。 弦を叩くと振動し音になりますが、

音には倍音が必ず発生します、その倍、その倍と減衰しながらどこまでも高次の倍音が発生していきます。 それが楽器(ピアノ)の音なのですが、

出た音が何度も反射するのは、よろしくありません。 コンサートホールは、反射を計算し残響(余韻)を一定の数値に納めます。

音は出っぱなしが良いわけではありません。 出っぱなしは、無響室や野原と同じで楽器の響きを損ねます。 これはオーディオの世界も同じです。


無響室にピアノを持ち込んで演奏しても、残念な音になります。 音楽の録音スタジオも、似た傾向がありますが吸収し過ぎは害あって利はないです。

吸収しすぎるがために、後で残響を加えるのが録音の常です。

このように、グランドピアの設置場所は難しいです。  言えるのは、四方が固い壁よりは、日本家屋のように適度に抜ける方が、音的には良いと思います。

隣に聞こえないのは、音の逃げ場がない訳で反響が起こっています。 筒抜けなぐらいが、音には良いのです。 まさにもろ刃の剣・・・。

つまり、部屋が狭いなら音は筒抜けにする・・・。 部屋は築数十年の建物、なおかつ演奏時には窓を全開にする・・・それが理想の音場になります。

オーディオの世界で言えば比較的デッドな部屋、響かない部屋と言うことになります。 対するコンクリート住宅は基本ライブな部屋と言います。

日本家屋でも、床は畳ではいけません。 畳では音が全くしまらなくなります。

またこれはピアノの話で、オーディオの世界では決して良い結果にはなりません。 


■音は逃げようとする。

拡散するのが音なので、音の出る対面は開け放しか、吸音できる部材を置く。 金属は近くに置かない。 音は逃げようとするので、戸は開けてあげる。

逃げた音は戻っては来ません。 ピアノの音なら、数百メートル先まで行って消えるでしょう。

ピアノは壁面と平行に設置しない・・・。 定在波が居座ります。

グランドピアノは重いので、一度設置したら簡単には動かせないです。 


■スピーカーでピアノ曲を、同音量で再生してみる。

ピアノが無くても、スピーカーでピアノ曲を生ピアノと同音量で再生することで導入の手引きになります。

設置前の部屋の響きなど、事前に知ることができます。 100デシベルの音の大きさに呆れるかもしれません。

家の周囲にどれだけ音が拡散するかも、良く把握できますね。

ただし、生ピアノと同じ音量を出せるオーディオシステムは、ピアノより高くつくかもしれません・・・。

■グランドピアノはハードルが高い。

設置しても、生ピアノは音が大きいがために蓋が全開に出来ない・・・。 夜は弾けない・・・。  家じゅうに響く・・・。

それでも、グランドピアノはグランドピアノでしかない魅力にあふれています。


あなたならどうする。

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