東京写真PLUS ピアノ編
大人のピアノ習得に対する考え方 2019.12.22
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大人のピアノ、私のように高年になって全くの一からピアノを始める方に、一言申し上げます。 正しいとかそうじゃないとか抜きにして 、全くピアノを触ったこともないおぢさんが、どうしてここまで来たのか・・・。 参考になれば幸いです。 なお全てのことはこの記事ピアノ編、455ページ全編にに書かれています。 読み返すのも大変なので、改めて進言申し上げます。 [大人・老後にピアノを弾くのは、全く異なる趣旨・目的による] 先ず大きな誤解。 ピアノは習うものではありません。 それは手段であり、大人・老後にピアノを弾く人=以後大人はそれを望みません。 その大きな間違いは、習いに行くとすぐにわかると思います。 何故なら、大人の扱いが出来ないからに他なりません。 子供は人生が短いですから、何もわかりません。 ほぼ白紙の状態で臨めます。 しかしながら大人の場合は、そういう理屈は当てはまりません。 大人は、ピアノが30分位で何ができると考えますし、そう思います。 子供の30分は大人の数分・・・。 10回通って1回分にもならないはずです。 大人は予習復習はしませんし、それを勧めてはやりたくない症候群が増殖します。 散々人生でやってきた事の無意味さも有意義さも、 はたまたサジ加減も知り尽くしているのです。 以上のことにより、大人にピアノの習熟を期待したり押し付けては逆効果になります。 子供同様、いや親がいない以上益々反発をすることになります。 教える側に立って見れば、できて当たり前。 大人はよく理解していることなのです。 前置きが長かったですが、ここで本題。 大人がピアノを弾くのは「上手になりたい」からではありません。 大きな誤解です。 弾きたい曲に出会ったからです。 上手下手関係なく、それが弾ければよいのです。技術は必要としていません。 それも理解しています。 ですから、指使いや楽譜の読み方などは全く問題にしていません。 望む音が出れば良しとします。 それが繋がって、目指す曲になればそれでよい。 基本は習うための題材であり、そうでなければ基本は全く必要としません。 基本通りでなくても、楽器と言うものは鳴ってくれるのです。 ありがたいことにピアノは、押せば鳴るのです。 他の楽器のように、無駄に音出しの習得時間を費やすことはありません。 そういう意味では、ピアノは最も身近な楽器なのです。 それを大人はよく理解しています。 曲が曲として成立するために必要なことは何でしょうか・・・。 楽譜の譜読みでしょうか。 楽譜の記号でしょうか・・・。 初見でしょうか・・・。 指使いでしょうか・・・。 指の修練でしょうか・・・。 両手を同時に使うことでしょうか・・・。 リズムでしょうか・・・。 強弱でしょうか・・・。 ペダルでしょうか・・・。 いえいえ、どれも必要ありません。 目的の鍵盤が分かりさえすれば、曲は成立します。 それを、音楽として成立させることは大人は望んではいないのです。 少なくともピアノを始めたときは・・・。 もう一度おさらいです。 大人は「弾きたい曲のためにピアノを始めます」。 それ以上でもそれ以下でもありません・・・最初は。 それでは、滅茶苦茶になるじゃないかと考えるのは、ピアノをやってきた人やピアノの先生。 心配はいりません、そのような一見物凄い遠回りのようなやり方こそが大人のやり方なのです。 なぜそうするのか、先生やピアノを弾ける人は 理解ができないと思います。 順序だてて、コツコツやるのは、大人には勧めてはいけません。 何故なら、そういうことは後日嫌でもやるようになります。 急がば回れ、ウオーク・ドント・ラン・・・大人の生き方はそれでありピアノもそうするのです。 時期が来れば、言わずともやるのです。 つまり、大人にピアノを教えることは非常に難しいのです。 素直ではないし、はっきり言ってひねくれているのです。 弾きたい曲は一曲、いや一曲弾けれな良いと大人は思います。 これは本心ではありません。 本音ではなく建て前です。 それでは、 [弾きたい曲があったらどうする・・・。] 先ず楽譜を探しましょう。 簡易版のじゃなくて、できるだけオリジナルに近いものを探します。 大人の場合は歌謡曲やポピュラーだったり しますから、絶対に簡易版から入ってはいけません。 何故なら、音のイメージが簡易版ほど薄れるからです。 大人にとってイントロやさびは非常に重要です。弾きやすいかもと思って、簡易版から入ったら、これじゃなかった迷宮に陥ります。 クラシック音楽の場合は、音符の多さと調号の多さに冷や汗が出る筈です。 これ無理かも症候群が勃発します。 やめとく症候群も出たりします。 そこで、諦める人は多いです。 あーっ、ピアノやってられないとなります。 初めてもいないのに・・・(>_<)。 それを乗り越えるのが、先ず一歩です。 その時点ではピアノ様のそばまで行けないはずです。 でも心配いりません、人生の荒波をくぐり抜けてきた 大人は、溺れながらも先に進みます。 ムムム、記号が分からない・・・。 そう、そこで音楽というものに気づきます。 そこまでたどり着けなかった多くの人は、もう一生ピアノをやることはありません。 選ばれたのですよ、あなたたちは・・・(*^^*)。 と言う事で、大人は自発的に行動を起こします。 先生は、それを待っていれば良いのです。 教えることは何もありません、僅かなアドバイスが 大人には頓服薬のように効きますから・・・。 [楽譜が手に入ったらどうする・・・。] はい、譜読みをします。 読めなかったら、読めるようにします。 楽譜は解答書です、参考書ではありませんし宝物でもありません。 神聖なものじゃありません、解答書ですから書き込みまくりましょう。 楽譜がきれいなほどやっていないか見栄張です。 ただの紙だから、いくらでもコピーできるし買えるし、カッコつけること全く不要です。 その人の本気さはそこに出ますよ。 音符が読めないなら、ドレミを覚えましょう。 そして仮名を振りましょう。 大人は記憶力も判断力も目も頭も悪いのだから、 見栄を張らずに読めるようにするのが第一です。 仮名を振ることによって、譜読みが出来るようになります。 音符の書き方綴られ方が分かります。 ちょこんと仮名を振るのではありません。 一曲全部上下通して仮名を振るのが鉄則です、仮名振りしながら弾いたり、部分的に仮名を振っては いけません。 [仮名が降り終わったらどうする・・・。] 一曲仮名振りが終わったからと言って、それを練習し始めてはいけません。全くダメです。 一曲位で仮名振りができた、音符が読めたなんて 有り得ません。 それこそ、音楽をなめています。 ピアノはそんなに楽ちんな物じゃないのですよ。 弾きたい曲を片っ端から集めましょう。 えーっ、一曲弾ければ良いのになんて泣き言は無用です。 ピアノやるんでしょ。 まあ、大人の場合は人生が長いですから、弾きたい曲は芋づる式に出てきますね。 そうじゃなきゃ、やめなさいピアノに失礼だから・・・。 あの曲この曲、あーっ、この曲も良かったなんていくらでも出るでしょ。 それを、全部楽譜用意します。 もちろんオリジナルに近いので。 少なくとも、100曲くらいはやりましょう。 私は300曲くらい一気にやりました。 それが終わるまでピアノを弾いてはいけません、と言うか何か月もかかるかも・・・。 一気にやることで、大人のコチコチの頭にも楽譜が入ります。 それがとても必要なことなのです。 腱鞘炎になる可能性は非常にあります(責任は負いません)。 手と相談しながらやりましょう。 近いところをずーっと見続けるので、一時的に視力が悪くなります。 近視の方はメガネの工夫も必要です。 鉛筆は薄いので、ボールペンで仮名振りをします。 白消しは必須です。 仮名は音符の右に振りましょう(目の流れです)。 前に仮名を振ってはいけません。 音符の横に振れない場合は(普通は振れない)、頭に振ります。 この振り方は、過去の記事に実例が詳しく書いてあります。 できるだけ音符から離さないことです。 目は無意識に両方見ていますから・・・。 楽譜に仮名振りなんてと考えていたら、大人はピアノが弾けません。 もう、人生の長きにわたって恥など掻き尽してきたのだから恐れるにあらず。 過去の記事にもありますが、クラシックの大曲やら難曲は音符が多いです。和音やら重音が多く、仮名を振ること自体大変なのも事実です。 弾きやすいために仮名を振るのが、返って弾きにくくなるかも知れません。 でも、端折らないで地道に仮名を振り続けましょう。 [分からないことは直ぐに調べる・・・。] ピアノをやろうという場合、基礎など全くない大人は分からないことばかり。 一寸先が闇のように思える事でしょう。 今や何でもありの時代だから、ネットやYouTubeはとことん利用しましょう。 懇切丁寧に解説してくれているサイトも多いです。 習い先の先生に質問でもしたら、それだけで時間は終わってしまいます。 何せ、お子さんのように段階を踏んでいないのです。 分からないことや疑問は、山ほどあって当たり前です。 それを持ち前の努力で克服していくのが、大人です。 やったー、と一人で叫びましょう。 大人のピアノは、びっしりと張り付いた苔を一つづつ剥がしていくような作業になります。 間違ってもでたらめでも、一向にかまいません。 過ちを直すのも大人の歩んできた人生であり、それが出来るのも百戦錬磨の大人なのです。 [いよいよピアノの練習を始める・・・。] 楽譜の仮名振りが終わったら拡大コピーをします。 楽譜がコピー辛い物なら先にしたほうが楽。 あくまでも大人は目が悪いと言う前提です。 コピーした楽譜は、テープなどで止めます。 バラの状態は楽譜を無くしたり、不便が多いです。 譜面台もピアノの譜面台は小さいので、 板や何やらで適当な大きさのを作って、最低でも三枚は見れるようにします。 動かないようにピンチやクリップ、ゴムバンドなどで止めます。 楽譜をBOOKのままやピースのままで練習を始めるのは、極めて無謀です。 音源が必ず存在するので、それを先ず聞きましょう。 演奏動画がある場合はそれも忘れずに見ましょう。 音源はオリジナルの物(歌謡曲やポピュラー)で、アレンジが原曲から離れていないものを聞きます。 YouTubeなどの演奏動画は、原曲云々じゃなくて 楽譜の違いが主なので、参考程度に。 大人はとにかく弾けないのだから、鍵盤や手・指が映っている動画を参考にしましょう。 クラシックの場合動画は、著名人から一般人まで幅広く視聴しましょう。 上手な人の演奏は、ほとんど大人には参考になりませんが・・・。 楽譜も準備でき、原曲も繰り返し聞いた、模範演奏もたくさん聞いた・・・。 そこまでが弾く前の準備です。 [曲を弾いてみる・・・。] 仮名は振ってあるので迷うことはありません、鍵盤と音符の位置を確認しながら始めます。 両手で初めてはいけません。 先ずメロディーラインから始めます。 左手はお休みしましょう。 音を出す出さない、押さえられるられないは別にして 最後まで確認します。 弾く必要はありません、と言うよりも先ず弾けないのですから。 こう言う音はこう言うように音符が成っている、それを感じましょう。 楽譜と同じ音源があるのなら、それを聞きながら楽譜の音符を辿ります。 付いて行けないことがあると思います。 それが普通です。 楽譜の音符を正確に辿れることは、弾けたも同然なのです。 無理は全く不要です。 繰り返すうちに慣れてきます。 一曲通して確認が終わりました。 ここからやっと練習に入ります。 練習は弾けることが大事ですから、弾けないところを何度もやるのは無駄です。 ごそっと飛ばしましょう。 大人は飛ばさないと先に進みませんから、それで全然オーケーです。 ただし、出来る所は完璧にやりましょう。 小さな小節でも、千回のつもりで・・・。 百回じゃ全然足りないです。 楽譜は、一曲通して弾く必要は全くありません。 コンサート出ないし、CD出さないし・・・。ぶつ切りで一向に構いません、と言うよりそうしないとやはり 先に進みません。 大人のピアノは、一曲通してなんぼじゃなく弾きたい所が弾けてなんぼです。 くれぐれも間違えないでください。 それでも、一ページやるのに相当な日数を費やすと思います。 押してもダメなら引いてみなで、あっさり見切りをつけましょう。 曲は恐らくぞっとするくらいある筈です。 嫌になる前にやめて、次に向かいましょう。 次の曲はあなたを待っています。 なぜ、ぶつ切りの練習をするのか、お分かりですね。 通して弾くのは一本の紐と同じ。 ぶつ切りは、積み重ねるブロックです。 紐は途中でやめると、おかしなことになります、紐としても成り立ちません。 対して小出しのブロックは、崩れることはありません、いつでも足せます。 先のない大人には、紐のような練習は不向きなのです。 プロ写真家の写真は完璧ですが、味はありませんね。 対してアマチュアの写真は予期せぬ凄さが有ったりします。 ピアノもそのように思えます。 先生は味を教えてはくれないはず、味は自分にしかない物だから教えられないのです。 大人のピアノにとって、ピアノが弾けるということは一曲通して弾けることではなく、ピアノがスラスラと弾けることでもありません。 それは結果でしかありません。 求めるのは結果ではなく、充実感や満足です。 そして、それらがいつの日にか感動になって行きます。 [諦めなければいつかは弾けるようになる・・・。] 言うは簡単ですが、継続するのは難しいのも事実です。 ピアノの練習をしていくと、必ず壁にぶつかります。 どうのこうのあがいても崩れない壁で、 諦めることも多いと思います。 しかしここに問題が・・・。 壁の厚さは、実はやってる本人、直面している人には分からないのです。 あと数十センチかも知れないし、数ミリかも知れません。 諦めずに叩き続けてこそ、向こう側が見えるのです。 大人は兎角先を急ぐ。急ぎすぎて躓いて、その先に行けなくなってしまう。 これまでの人生、決して楽ではなかったでしょう。 今少し佇もう。 たかがピアノ、されどピアノ・・・。 ピアノはあなたを待っています。 そら、できたじゃない・・・って。 繰り返します、あなたの目的は何ですか。 今更ピアニストですか、発表会ですか・・・。 どうして、ピアノを弾こうと思ったのですか・・・。 [餅は餅屋に任せよう・・・。] ピアニストになろうとしている人と、もうピアニストになっている人・・・大人はどちらにもなれません。 そういう野心は捨てましょう。 好きこそものの上手なれと言いますね、目的が異なる人には敵いません。 車は車道を走り、人は歩道を歩きます。 互いに交り合うことはありません。 有ったら事故です・・・(>_<)。 ピアノが上手とか下手とか、上手になりたいとかそういう野望は持たないほうが幸せかも知れません。 世界にただ一つの曲、それはあなたの演奏に他なりません。 [何でもやってみよう・・・。] 人生一度きりなのに、そればっかりじゃ寂しすぎませんか。 井戸を抜けて、周りを見てみましょう。 色々な花が話しかけてくるかも知れません。 大人にとって時間はとても大切、確実に人生は減っていくのですから。 知らぬが仏も良いですが、知りえて悩むのもまた有りと思います。 生きていてこそ、新たな曲に巡り合い感動を味わうこともできますね。 手の中の小さな宝石が、いつの間にか沢山に増えているかも知れません。 楽曲には必ず誕生した背景があります、その背景を知ることによって新たな思いが生ずることもありますね。 [童謡・唱歌侮るなかれ・・・。] 童謡や唱歌は、小さい頃に学校でいやおうなしに習わされた曲でもあります。 何を今更と思う人も多いかと思います。 童謡唱歌は子供向けなので、メロディーラインが単調で、当然のことながら音符の数も少ないですね。 つまり、一見やさしいのです。 音符の数が少ないと言うことは、音を持続して伸ばすことが多いですね。 どっこいピアノは、鍵盤を使った打楽器でありますから持続が苦手です。 「あーきの ゆーうーひーに てーるーやーまーもーみーじー」 これって、10人弾くと10人とも違って聞こえると思います。 ショパンのノクターン第二番のメロデイもそうですね。 この曲は、演奏者の違いがはっきりと分かります。 メロディーラインの音符は多くありません。 弾くのは簡単でも、聞かせるのは至難の曲のようです。 童謡唱歌しかり、こういう曲はピアノが言うことを聞いてくれない筈です。 走ると細かなことは見えませんね、ゆっくり歩くと全てが露になってしまいます。 その理屈です。 ピアノには固有の癖があり、それは生ピアノでも電子ピアノでも同じです。 そんな扱いにくいピアノは、人による弾き方には物凄く敏感に反応するのです。 ピアノ恐るべし・・・。 それ故に、音符の少ない楽曲は、弾きこなすのが難しいのです。 伝えるのが難しいと言っても良いでしょう。 ピアノの性質、性格というもの・・・余韻とかピアノによる鳴りの違いなど熟知してないと、残念な演奏になってしまいます。 エレキギターなどもそれに似ていて、FAZZを利かしたり早弾きには圧倒されますが、多少違っても分からないのがほとんどです。 比較的スローなリードを弾くギターは、驚異ですね・・・。音を外す恐怖は半端ないと思います。 200ある音符一つ外しても大差ありませんが、20位のを一つ外すと、げげげの鬼太郎になってしまいます・・・(;´Д`)。 音の少ないということは、テンポの揺らぎなどが良くわかり残念な事になるのですね。 日本の音楽の原点でもある童謡唱歌は、その持続音が故にピアノ向きとは言い難い面があります」。 [目的達成だけがピアノではない・・・。] 最初に大人のピアノの目的を述べました。 人間の欲は、さりとて尽きることはありません。 いい加減な練習方を勧めたのは、人の心理を推しての ことです。 必ずや満足がいかず、練習方法を試行錯誤することになります。 導入には、心理作戦が必要なのです 出来ないのは当たり前。 簡単に出来る訳はない。 継続するために、何が必要なのか。 学習とは、教えられることだけでは余りにも足りないこと。 自分の音楽は、自分で構築するしかないこと。 一曲完成しても、決して満足が得られる物ではないこと。 ピアノがプラモデル作りであってはいけないこと。 目的を達成することが目的では、決してないこと。 何を掴み、何を得て、何を失うのか。 何を知り、何が変わり、何がどうなるのか・・・。 楽譜は寡黙です、恐ろしいほどに。 ただ言えるのは、ピアノはあなたの心を代弁してくれることです。 楽譜もピアノも何も変わらないのに、ある時は口をつぐみ ある時は雄弁に、ピアノは語り始めます。 あなたの、探していたものは 見つかりましたか・・・と。 |