ピアノ東京写真PLUS ピアノ編

大人のピアノ習得に対する考え方その4    20191225

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以上述べてきた通り、ピアノを大人が習得するのには難しさがついて回ります。 もちろんその主たる原因が、大人であることに他なりません。

子供は一定の支配下に置かれますから、習うことは社会では普通であり、それが為に義務教育が存在します。 社会生活に必要な最低限の

知識や技術を学ぶのです。 ですから、教える側が必ず存在します。 ピアノを弾くとか、習字をするとか、算盤をするとか、教科書以外のことを

する場合は、最低限の習得ではありませんから、別建てで習うことになります。 正にピアノはそう言う立場にあります。


お子さんの場合は、本人がどうのと言う理由建てよりも親の意思によることが少なくありません。 習い事は多くがそのようだと思います。

しかして、大人のピアノ習得はそういう訳には行きません。 子供の時代を過ぎて社会に出て、一家言も二家言もある人生経験者なのです。

そんなの習うのに関係ないと言ったら、それは大きな間違いになります。 何故なのかは、前回申してきた通りです。


先ず言いたいことは、大人のピアノ習得者は生徒ではないと言う事です。 形式上云々ではなく、全てがそれに当てはまりません。

ですから、教える・・・知らないのだから教える。 出来ないのだから教える・・・と言う考えは通用しません。 その考えは生徒的なのです。

生徒は言われた通りにしないと、それこそ習う意味がなくなります。 大人はそうではないのです。 もっともっと、違う扱いと対応をしなければなりません。

ピアノ一筋で来た先生には、かなりのハードルになるかと思います。 普通の大人に教えるのは、普通では全然ダメなのです。



[ピアノの門をたたく・・・。]

どうされましたか  冬のソナタが弾きたいのですか・・・。

じゃあ、ピアノちょっと弾いてください  あーっ、少しは出来るのですね   昔、すこしやりましたか?

この楽譜持ってませんから、探してみます  今日はこれをちょっとやりましょう

あっ、もう時間ですね  この本を買ってください 基本的なことが書いてあります  まずこれもやりましょうね

今度までに楽譜探してみます それじゃ次回又・・・。

これは家内が行った実際のお話。 もう二度と行きませんでした。

そんなんじゃないから・・・。 と言ってました。 あーせーこーせー、そういうの嫌だとも

大人のピアノ習得希望者、そう言う気持ちありませんでしたか。 思い通りにスイスイと進みましたか。

大人は、先生ならどんな曲でも対応して、直ぐに教えてくれる・・・。そう思っています。 恐ろしい勘違いなのですよ。

楽譜が無いとか言う時点で、もう先生とは見なせなくなってしまいます。 私も同意見。 パソコン治して・・・は全面対応します

それがプロフェッショナル。 プロフェッショナルに習いに行ってることを、教える側はそれほど気にしていないのです。

楽譜がなかったら、どんな曲ですかチョットハミングしてください・・・、こんな感じですか? とやったなら家内は通っていたでしょう。

知らない曲でも、間違えてもいいから即対応して欲しいのが、先生に求めるレベルなのです。 

そりゃあなた、知ってれば誰でも弾けますよ。 先生も人間、それを大人は知っています。 どんなプロでも間違いはあるし、出来ないこともある

その時の対応に全てを映してしまいます。 あーっ、この先生ダメだわと。

今、継続して習っている大人のピアノ習得者はきっとより良い関係にあるのだと思います。 ある意味相互理解者なのかも知れませんね。

どちらかが一方通行では、良好な関係は構築できません



[大人を受け入れるのは大変・・・。]

前の例で何か気づかれたかと思います。 そうですね、先生は唐突ですね。直ぐに何かを知りたがる、時間の制約もあるでしょうが、もっと大切なのは

観察です。 尋問や質問ではありません。 その日は何もせず、お話をする場であっても良いかなと。 冬のソナタがどうして弾きたいのか、

どういうドラマなのか、それを知らずして大人のピアノ習得者がなぜここに来たのか理解することは出来ません。 

より良い関係はすぐには構築できません。 でも、その努力なしには何も進まないのです。

お子さんと違い、大人は要求する事がとても多いのです。 全く考え方も行動も異なるのですから、教えられる方は大変だと思います。



[掛かった費用は自己責任・・・。〕

ピアニストになるのには、相当な費用が掛かりますね。 もちろんプロフェッショナルは全てそうなので、大変な投資が必要になります。

純然にピアノが好きであっても、ピアノ以外の仕事をしていなければピアノで生計を立てなければなりません。

言い方悪いですが、投資した分の回収も必要なのです。 人はそれらに対価を支払います。 ギブ・アンド・テイクの世界です。

ピアノ習う料金、高いですよねー。 ひと月1万五千円など・・・。 毎日じゃなくて月数回で・・・(>_<)。 6年で100万円掛かりますね。

ピアノも必要だし、生ピアノなら定期的に調律も必要です。 ピアノの場合、設備投資もさることながらその後の費用も馬鹿にならないのですね。

もちろん、先生の場合はご自身の為にも相当投資している訳で、その回収を考えると安価には出来ないと言う事になります。

しかし、それは全て自己責任の費用ですよね。 決して、習う人個人のために掛けた費用ではありません。 あくまでも投資なのです。


掛けた費用に見合った上達があるのかどうかが、とても重要になります。 習得の場は読んで字のごとく、習って得るためにするものです。

毎回何かを掴んで帰ってこなければ、スカになります。 外れです。 掴んでくるのは、どんなことでも構いません。

長いこと通って一曲完成しても、後は忘却の道を転げ落ちるだけです。 そう言う時間の費やし方は、先のない大人にはとっても勿体ないの

です。



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