東京写真PLUS ピアノ編
りんご村から | 2024.7.11 | ||
三橋美智也 |
№730
1956年、三橋美智也の楽曲です。 作詞:矢野亮 作曲:林伊佐緒。 岩木山を除けば大きな山はなく、リンゴ栽培に適した立地です。 意外にも、リンゴは山では育てません。 「たよりもとだえて 幾歳過ぎた」とあります。 幾歳とは、何年も過ぎたと言うことです。 「都へ積み出す」とありますから、東京なのでしょう。 この時代、一旦故郷を離れたら戻ることは難しいです。 村をなぜ離れたのか、疑問がわきますね。 この時代はキャリーカートなどありませんから、 荷物は竹梱りだったのでしょう。 いわゆる、着の身着のままが普通でした。 都会に行ったならば、もう戻ることはなかった時代です。 作詞家の矢野亮は茨城県下館町の出身。 リンゴとは縁のない地ですが、矢野は何処を思い浮かべて 書いたのでしょう。 周囲につてがあったのでしょうか。 疑問は残りますが、名曲であることに違いありません リンゴといえばフジですが、この頃1956年はまだフジが世に出てはいません。 フジという名が登録されたのは1962年です。 それまでは国光(こっこう)や紅玉が主でした。 国光は地元や秋田県では「雪の下」と呼びます。 また蜜の入るデリシャスも日常でした。 フジは、国光とデリシャスの掛け合わせで出来た品種です。 80年以上になりますが、未だフジを超える品種は 出来ていません。 リンゴの王様なのです。 テレビでは昨今王林とかが有名になっていますがこの王林、青森県生まれのリンゴではありません。 原産地は福島県です。 1950年代に生産が開始されています。 王林は、果点が目立つため残念ながら品種登録はされていません。 日本のリンゴの生産の6割は青森県です。 その青森県での最多販売品種はフジで、5割に達します。 皆さんご存じないですが、秋田県はリンゴの産地でもあります。 因みに全国6位の県です。 おまけに言いますと、リンゴの紅玉は地元青森や秋田では「まんこ」と言います。 まんこや雪の下は、日常で使われる言葉です。 国光=雪の下、紅玉=まんこと覚えてください。 りんご村からに出てくるリンゴは、雪の下ならば冬から春それ以外の季節ならばまんこと言う事になります。 このまんこは、小型で酸っぱいリンゴです。 今でも少量流通していますよ。 東京などにはこの雪の下やまんこが多く出荷されたため、リンゴは小ぶりで固く酸っぱい と言うイメージが出来たのかも知れません。 どうしてどうして、デリシャスは大きくて蜜があり甘いのです。 地元では、王林などはあまり買いません。 やっぱ、リンゴは赤くなくちゃと思ってしまいます。 青森県は何をおいてもリンゴです。 昔ならなおさら、リンゴ業一択と言っても過言ではありません。 村を離れることなどできることもない、リンゴは生き物なのです。 「都へ積み出す まっかなリンゴ」 歴史に残る、そして心に残る名曲です。 |
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