F4Sのお写真2 2010.9.12



またまたF4Sじゃ。

巷ではそれほどでもないF4だが、カメラとしての完成度は高い。


一枚目

キヤノンのEOS系のデザインが好きな人には、この無骨さは許せんのだろうな。ニコンのロゴはF3の直線基調もものから、斜体に変った。日本光学からニコンに社名が変ったからである。ロゴは残念ながらプリントである。20万円を超えるカメラなのにと思ってもしょうがない。これはボデイ外装が、エンジニアプラスチックになったためであり致し方ない。プラスチック外装は質感に乏しく、使うにつれ擦れてテカリが出る。しかし、強度は充分なもので合金ならともかく薄手の板金よりはよっぽど頑丈である。エンプラは金属と異なり、割れる事はあっても凹みはしない。F4の内部はダイキャスト製であり、外装のみがエンプラなのだ。バッテリーグリップは金属であり、長く使うと猛烈に塗装が剥げる。しかし、頑丈この上もない。

二枚目


なにせF90Xなどより6年も古いカメラである。よって、オートフォーカスは後発のカメラには及ばない。F90Xまではフォーカスエリアは、だだの一点だが、報道や風景にはそれで充分である。tokyoはどんなにエリアが沢山あっても、キメル時は中央の一点しか使わない。よって、特別不便にも感じないのだ。F4やF5はシャッターロックボタンがあり、咄嗟の時には慌てることもある。不用意にシャッターが切れないようにとの配慮なのだろう。デジタルでは枚数の心配は不要なので、プロ用と言えどもこの仕組みは採用されていない。ファインダーは見やすく、ピントも合わせやすいので安心してマニュアルが使える。バッテリーグリップを外せば、大きさ重量とも減少するがそれでも1090gと決して軽いカメラではない。どうしても軽さが欲しいのならば、785gのF100を選ぶしかないだろう。ちなみに、F3はもう少し軽い715gである。

三枚目


昔F4が欲しいと言う知人に相談されたが、あっさりとダメ出しをした。理由は簡単。知人の目的は風景であり、この大きさと重さなら645の中判が良いと薦めたのだ。フイルムは大きさで画質が決まるので、選択肢はないと言って良い。プロでなければ、F100やF90Xで充分なのである。素人にとって、F4やF5は過剰装備以外の何物でもない。F4やF5は、間違いなく中判カメラが買える価格であった。いくらお金に余裕があっても、カメラは道具であることを忘れてはいけないのだ。道具にはそれ相応の使い道があるのだ。

四枚目


ニコンF3やそれ以前のカメラにはバリエーションが存在する。特にF3はバリエーションが多い。F4はグリップだけと言っても良い。外装がプラスチックと、コストを落としたのが響いているのだろう。F5も記念モデル以外はバリエーションがない。これが、カメラコレクターの目に留まらない点なのだろう。尤も、この風貌でバリエーションがあってもしょうがないという気がするのも事実ではある。じっくり使ってみると、F4はやはりFであることが良くわかる。このカメラに文句を言う人は、やはりカメラを知らない人なんだろうと思う。

カメラと言う物は機械なのだから、やはり日進月歩する。Fのような発売期間が長いものは当然製品に対するフィードバックも大きい。基本はターゲットとする人により決定されるべきものだから、F4がどうのこうのと言うのは次元が違うことなのだ。FよりF2が良く、F2よりF3が良く、そしてF3よりF4が良い。F5はF4より良く、F6はF5より良い。違うと言う人はやはり見方が違っている。ものの優劣と、用不要は全く異なるものでありこれも論議を待たない。
つまり、
F4がF3より進化していることが最優先な事項であり、ノスタルジーや使い勝手は論じられるべきではない。新しいものを受け入れられないのは、どんなものでも変らない。車がモデルチェンジして戸惑うのはユーザーかもしれないが、それは想定内のことだと思う。すぐに慣れるだろうし、慣れないのは人間が機械でないからでありこれも止むを得ないことなのだ。

しかるにF4はどうなのか。
F4は過去の商品に比し進化したのであろうか。そう、しているのだ。それを認めることがF4を正当に評価することになる。
オートフォーカスの採用。
巻き上げの電動化。ボデイのみでの高速巻上げの実用化。
自動巻き戻し。
絞り優先オートの他、シャッター優先オート、プログラムオートを追加。
TTLマルチパターン測光の採用。マルチパターン、中央重点、スポットの測光。
シンクロ同調1/250秒。
最高速1/8000秒。
これらのスペックはF3を凌いでいる。

おわかりのようにF4は相当に進化したカメラであったのだ。このニコンでの進化を他社のカメラに比してどうこう言うのはお門違いである。ニコンとしてはF3に比し、劇的に進化したカメラであったと理解したい。不評のエンジニアプラスチックの外装も、プロ用として充分に使用に耐えたのであり、金属ボデイのみが万能ではないと身を持って呈したカメラでもあったのだ。賞賛されて然るべきカメラだったのである。本来は比較の対象にならない他のカメラと並べて比較されるのだから、ある意味凄いカメラなのだ。
F4の存在した8年間後、地道な研究を重ねたF5が誕生する。
F4があって完成したカメラであることは論を待たないことである。

F4のプラスチックボデイに文句垂れる諸君。フラッグシップであり報道の前線で酷使され活躍し続けたFが、金属外装のカメラではなくプラスチック製の外装であったことに驚こうではないか。それがニコンの技術であり、F4であったのだ。

お写真終わり



またじゃ。


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