ニコマートFT2 (1975年3月発売)



ニコンマートFT2です。

ニコンF2の時代の廉価判カメラです。


最高速1/1000秒。
TTL開放測光・中央重点測光採用。
コパル製縦走金属シャッター幕採用。
視野率92%。倍率0.86倍。
ミラーアップ可能。
発売時価格¥41,000。
重量780g。


ニコマートとしては中期に属します。




シャッターダイヤルはマウント部分にあります。
フイルム感度もここにあります。

Aiではありませんので、露出連動ピンを使います。
レンズを設定後、最小絞りと開放の間を往復させます。ニコンのガチャガチャです。

このカメラの発売2年後レンズはAi方式になります。







シリアルナンバーは背面ではなく軍艦部。
(シリアルは消しています)

非常にすっきりとした広い軍艦部が特徴です。
丸い見やすいフイルムカウンターと、
露出表示の窓しかありません。

ストラップの位置は金属カメラの定位置。


シンプルな背面。
フイルムメモホルダーすらありません。

ファインダーは倍率が高く、見やすい。
シャッタースピードはマウントリングの直読式で、ファインダー下部に表示されます。

非常に重いカメラであり、連写も出来ません。
重量級のレンズとの組み合わせでは1キロを超えます。
それ相応の覚悟をしなければいけないでしょう。

Nikomatというロゴであるが、Nikkormatというのも輸出用では存在したらしい。
ニコはニッコールの略かもしれない。NIKKORである。matはmatteだとすればニッコールらしきものとか、ニッコールを
あてがうカメラとでも解釈しよう。つまりNikonはカメラボディであり、Nikon-matではなく、Nikkor-matなのだろう。
Nikon Nikkomat FTN やELが海外での名前で、ロゴは「Nikkormat」と「r」が入る。

海外版に見られるニコマートFT系のロゴ。 同じく海外版に見られるニコマートEL系のロゴ。
tokyo所有のニコマートFT2のロゴ。 同じくtokyo所有のニコマートELのロゴ。
東京写真 ニコマートFT2 ロゴ

国内版はFT2もELもロゴは全く変らない。海外版はFT系とEL系では微妙に字体が異なる。

ニコレックス(NIKKOREX F)も同様で、NIKKORとREXだと想像される。REXとはラテン語で王様のことを指す。
NIIKKOR-REX-Fつまり、ニッコールレンズを使うに相応しいFシリーズに匹敵するカメラということになる。
日本光学製カメラのブランドはニコン=NIKONであり、ライカと同様のアイデンティティを持っていたと思う。

昔ニコマートを使っていて、その後カメラを全く使っていない人にニコンを使っていると言うととても驚く。
ニコンですかー、凄いですねとも言われる。つまり現在では安かろうが高かろうが、全てニコンになったことを
知らないのである。それほどに、「ニコン」の言葉には重みがあるのだ。
海外の人がこぞって、ニコンをぶら提げて日本にやってくる意味が良くわかる。
ニコンは今も昔も変らずステータスなのである。





便利というモノは決して人間を豊かにはしない。
それでも、メーカーは便利の為に試行錯誤を続ける。プロ用ならばコストは掛かってもシステムを作れる。
しかし、普及型カメラにはそんな贅沢は入る余地なぞある訳もない。
工夫こそが全てであり、それがこの時代のカメラであった。
押せば写る、と言う概念はこの時代のカメラにはない。撮影には技量が必要だった。
そんな時代に写真家は、黙々とシャッターを押し続けたのだ。



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TOKYO PHOTOGRAPH by shayuzin

東京写真

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