最近ミニラボ事情(※2002年当時です)



デジタル時代の到来でミニラボも変貌しつつあります。 
デジタルカメラの予想外の普及で、デジタルメディアにも対応せざるを得なくなったのです。
従来のフイルムに光をあてて直接印画紙に露光する方式から、プリント時にフイルムを使わないデジタル式に変わってきているのです。
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<デジタル時代のミニラボ>

業界最大手の、フジフイルムのデジタルミニラボを例に説明すると、
フイルムは赤色を露光する半導体レーザーと、緑と青の固体レーザーでスキャンをし画像を読み取ります。 これはレーザー走査線露光方式と言うそうです。 印画紙も同様で
印画紙露光時間1秒程度という、高速の露光が可能になっています。 業界最大手のノーリツではMLVAライン露光方式と出力可変レーザーエンジンにより露光するシステムとなっています。 従来のカラーフィルターを透して、光をあてて露光する光学式とは全く露光方式が違うのです。 
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デジタル式の場合、フイルムからデバイスであるCCDなどに1秒程度という高速でスキャンしたデジタルデーを印画紙に露光するので、ネガの状態に最もあった補正が自動でできるようになっています。 フイルムやデジタル写真からの取り込みには画像の補正が不可避ですが、、デジタルカメラ製造の経験を生かした画像処理技術により高品位な補正が全自動で可能としています。 また、フラットヘッドスキャナーや各種メディアも接続可能でPCと組み合わせればフォトCDの作成や、各種メディアへの出力が可能となるのです。 各種メディアから入力されたデータはレーザー光で印画紙に高速に露光されることとなります。 通常の銀鉛写真用印画紙を、処理するので仕上がりは普通の写真と同じ仕上がりになるのです。 これらのシステムを、デジタルミニラボと呼びます。 
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価格は、1000万円〜2600万円と高いですが各メーカーともこんな感じです。 フイルムの現像機は250万円〜450万円ほど。 35mmフイルム24枚撮りの場合、一時間に36本から92本ほど処理できる。 プリントにかかる時間は、乾燥仕上げまで約4分。 印画紙の一枚当たりの露光時間は、0.5〜1秒ぐらいと非常に短いので36枚撮りのフイルムなら、送りの時間を入れても10分はかからないでしょう。 フイルムの現像時間が8〜10分なので、1サイクルが20分〜25分ということになります。 実際の機械内部はみていないので、通常のネガフイルムも全てデジタル化するのか、別に光学式の部分もあるのかはわかりませんが、現在ではハイブリッド式のラボも製造されています。

<デジタルは万能 ?>

デジタル処理にはエンコードとデコードという変換作業が入るはずで、個人的には劣化のないプロセスは存在しないと思っているから、フイルムからの変換には消極的な意見となります。 シンプルイズベストではないかと考えます。 しかし、フイルムぐらいやっかいな物もないぐらい補正は難しく、デジタル化も時代の波なのでしょう。 
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以前何度か従来のアナログ機械を操作したことがありますが、便利なのはモニターを見て明室で色補正や露光時間を調整できる点でそれ以外は自家処理と何も変わることはありません。 ネガによるバラツキを補正しようとしたら、操作は煩雑になるし印画紙も無駄になることでしょう。 従来機の場合、適正露出になるようにマイクロチップは内蔵されていても、デジタル化のためではなくオート露光をする制御のためのものです。 デジタルカメラが普及し、簡単にベストショットが撮れるようになってくると、フイルムもデジカメ並みの対応を迫られるのは至極当然なのかも知れません。 

<ミニラボの管理>

前項でミニラボの現像液うんぬんと書きましたが、現在では現像処理液は配合済みのカートリッジ式になっているようです。 カートリッジ式なら交換時期は厳密なはずで、古い液を使われることもないでしょう。 ただ、従来の機械を使っている所もまだまだある訳でそういうところは注意が必要です。 ミニラボの機械は個人店の場合リースがほとんどなので、償却期間後には全て新型のマシンに取って変わることでしょう。 パソコンの進化とデジカメの普及は大きく現像所を変えようとしています。 我々が親しんだ印画紙が姿を消すのも、そう遠い将来ではなさそうです。

<デジタルミニラボはPCステーション>

1999年発表のコニカのニュースリリースを見てみたら、デジタルミニラボの仕様が、次のように発表されていました。詳細は省きますが、ユニットのパソコンはミニラボの機種によりセレロンもしくはペンティアムUの400MH〜450MHで、HDが4.3〜8.4GBと記載されていました。 CDROMが40倍速、カードスロットが2つです、メインメモリは128MB〜256MB。 OSはWindowsNT4.0。 ほとんどの装備が揃っています。 この仕様は1999年発表の仕様なので、現在のPCのスペックは相当アップしていると想像されます。 プリンタープロセッサー本体のみの価格は1050万円、1270万円、1550万円で1999年7月〜9月発売とリリースされています。 現在は2002年だから、大方のシステムは2000年発売当時の仕様と想像されます。 当時の出荷は内外で1000台としています。 現在発売の最新鋭のデジタルミニラボは、PCを外部接続するようになっており、そのためのインターフェイスが特に充実しています。 これは各社とも同じです。

<ミニラボの設置台数は>

2001年現在の全国のミニラボ設置件数は「日本カラーラボ協会(東京都中央区京橋2-6-19 溝口山陽ビル)」の資料によると、ミニラボの一年間の導入台数は約3000台で1997年の約4300台より減少している。1997年にはデジタルミニラボは開発されてなく、2001年は3000台導入の内約2000台がデジタルミニラボとなっている。 全国のミニラボの総数は1997年で約25000件、2001年で約27000件その内デジタル機は約3200台となっている。

<製造・販売メーカーは>

これらのミニラボ機は、フジフイルム、コニカ、ノーリツ鋼機、日本電装コパルなどで販売されています。 中外写真薬品では現像機器やケミカルだけではなくミニラボの販売も行っています。
コパルはカメラマニアなら誰でも知っている、シャッターの製造メーカーです。 コパルはドイツのアグファゲバルトと共同でミニラボを製造販売しています。 真っ白なシステム外装の隅にAgfaのロゴがあるのでわかるでしょう。アグファはフイルムメーカーなので、フジやコニカのお店で見ることはできません。。 ノーリツは写真現像機のパイオニアで世界のシェア半数をしめる大手で、フイルムメーカー以外のラボで幅広く使われています。 各社のフイルム・印画紙に対応しているのが特徴です。 写真用品メーカーの中外写真薬品はノーリツのミニラボを販売しています。 なおコダックはノーリツと基本部分を共通化した製品を開発して販売することになっています。

<主なミニラボメーカー>
フジフイルム フロンテァシリーズ ロッキーシリーズ
デジタル式 アナログ式
コニカ QD-21SUPER NPS-2611J、2511J、2301J、2101J、2102J
デジタル式 アナログ式、2611はハイブリッド式
ノーリツ鋼機 QSSシリーズ digital機、DLS機 QSS 2611、2612、2511MICRO Plus、2301,2302
デジタル式 ハイブリッド式
日本電装コパル アグファd-lab2、d-lab3、 アグファMSC100、MSC101、MSC200、MSC300、
デジタル式 アナログ式、後付でデジタル化可能
コダック 既存の自社製品とノーリツ製品を販売 基本本体部分をノーリツと共通化した製品を開発し販売
ノーリツQSS機の仕様の変更されたものを全世界で販売すると思われます 日本ジャンボーと業務提携


現在の写真技術は世界の最先端を行き、それこそ世界各地の注目する所ですが、実は写真においては日本は後進国であり、小型の現像システムや現像機材は今でもドイツやアメリカからの輸入に頼っています。JOBOのドラムや小型現像機などの発想は、残念ながら日本にはありません。


※ここに記載してあるデータ・会社などは当時の物です。

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