プリントの基準


機材も揃ったし、いざプリント・・・、と思ってもそうは問屋が卸さないのがプリントです。
プリントをするためには、前準備が必須です。
風景や、花を中心に撮影する人は特に次の点に注意が必要になります。
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それは、「プリントの基準となるサンプルを撮影する」ということです。 
基準がなければ、プリント作業は修羅場と化します。人間の記憶はいい加減なもので、
記憶色というものもあり個人差もあります。
風景や花は正にそれで、基準がないと正しい色がいつまで経っても得られず
挫折することにもなるでしょう。それでは、どうするのでしょうか・・・。
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まず、どこでもいいからフイルムのひとコマに人物を撮影することです。 
いない場合は自分を撮影します。順光で肌が見えていることが必要です。 
グレーのチャートや色チャートがあるなら、それも撮影します。 風景が日向なら、
サンプルも当然日向で撮ることです。フイルムの銘柄が異なる場合は、フイルム毎に
撮っておけば万全です。人肌は共通の認識度があるので、それに合わせる訳です。 
プリント作業は、サンプルの人肌がそれらしく再現できればOK。ほとんどの場合、
メーカー指定のメモリ値を多少変えるくらいですむはずです。 ネガカラーの場合は、
赤や黄色がポジのようには再現できないので注意が必要です。 
引き伸ばし機のメモリをいじくり回すと収集がつかなくなります。 
テストプリントは普通の蛍光灯の下で見て判断してはいけません。
少なくとも色にこだわった蛍光灯の下で見ることです。お金に余裕があるなら、
ラボ用の蛍光灯を使うことです。満足のいくプリントができたら、
最後まで数値は変えないことです。
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スナップ写真など、人物を多く撮る場合や、結婚式・披露宴・パーティなど
人ばかり写す場合は色がマゼンタに寄らないように注意が必要です。 
というのは、一般にイエローには寛容的でマゼンタには厳しいのが日本人の傾向だからです。 
多少黄色くても平気だが、ピンクや紫がかかっていたら必ず指摘されます。 
また、顔色を濃く焼くこともご法度で、多少明るめに焼かないと評判を悪くします。
そのくせ、洋服の色には特に敏感であるので、何をおいても洋服の色を忠実に出さないと
下手くそなプリントという烙印を押されてしまいます。幸い自家処理の場合、
ラボのプリントより色は良く出るので、調整しだいでなんとかなります。 
せっかくの自家処理、ラボのレベル以下では全く意味がないですね。
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もしネガを預かりプリントを依頼されたら、必ず同時プリントの写真を一緒に預かることです。 
ネガだけ預かり、プリントをして上げるのは絶対にしてはいけません。 
普通の人にとっては同時プリントが最高の基準なのであり、どんなに色がはずれていたり
露出が狂っていても勝手に変えてはいけないのです。
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何度か苦労を重ねたならば、同時プリントを見本にして、
全く同じ調子の六つ切りプリントなり四つ切プリントを作ることは難しくないことでしょう。
一般の人は、同時プリントが大きくなればそれで満足なのです。 
この辺を決して勘違いしないことです。ただ写真をやっている人については別です。 
色合いや濃度を説明して理解が得られるならば、最良のプリントをしてあげることです。
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自家処理をしていると、同時プリントは、
ほぼ100パーセント色相がずれていることに気が付くことでしょう。 
ラボの機械は全てのフイルムに対応していないのと、フイルムのバラツキ、
現像液の管理などで色の出方が変わってしまうからです。

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