レコードはCDより音が悪いのかその2    2020.6.26

過去の記事「レコードはCDより音が悪いのか」で、同じでなければならないと結論しています

また、少なくともデータ上では可聴域をカバーしている。ゆえに、同じ音がすると考えた いが、そうはならない。とも書いています。

レコードプレーヤーや録音事情、カートリッジなどについて詳しく書きましたが、 対するCDやCDプレーヤーについては、

ほとんど触れていませんので 補足をしたいと思います。

下は過去の記事です。

レコードはCDより音が悪いのかその1    オーデイオは歪との戦い 
聞こえない音を聞く   デジタル機器は高価なほど良い  
高音質CDとは      

拡張帯域の時代

CDを上回るハイレゾは無意味か      

CDプレーヤーが販売されたのは、今から38年前の1982年です。 

ソニーのCDP-101で168,000円、世界初の発売でした。 現在の貨幣価値でいえば、40万円位とかなり高価でした。 

現在ソニーのCDプレーヤーを、販売店で見かけることは少ないと思います。 ソニーが本格的オーディオを撤退するまでには、

百種類を超える機種を発表していたことを知る人は少ないでしょう。 ソニーはCDよりもコンパクトなMD MDS-101 96,000円を

1993年に発売します。このMD世代の人は多いのではないでしょうか。 また、次世代の規格として打ち出されたSACDの1号機

SCD-1 500,000円も1999年に発売しています。 この業界では、ソニーなしでは語れないほどソニーは最先端でした。


アナログレコードが衰退した理由は、このCDの発明及び販売によると言っても差し支えはありません。

CDが出てから38年になります。 30年位でCDは無くなるとされてきましたが、どうでしょう。 ハイレゾ、音楽配信の進む昨今ですが、

店頭にはまだまだCDが溢れています。 この38年間、世界中に溢れたCDが次世代のメディアに変わるのはそう簡単ではないと思います。


また、アナログレコードがアナログの知らない世代に興味を持たれるようになりました。 輪廻転生の感があります。

カセットやオープンリールが復権しない理由は、再生時の手間と曲の頭出しが瞬時にできないことです。

レコードは、簡単に聞きたい曲まで針を運ぶことができます(手動ですが)。 この差は結構大きいですね。


CDプレーヤー一号機
ソニー   CDP-101    1982年    168,000円
    SACDプレーヤー一号機
ソニー  SCD-1    1999年    500,000円
       
     
MDデッキ一号機
ソニー  MDS-101  1993年   96,000円
   
CDプレーヤー1号機のフロントフェイスは、カセットデッキを流用したものと思われます。 1982年カセットデッキESシリーズが発売されています。
下はカセットデッキTC-666ES
 
       
(※ 資料は「オーディオの足跡」様ホームページより引用)   

御覧のようにハイレゾ登場以前は、再高域が20,000Hz位になっています。 テープ系(カセット)と違うのはダイナミックレンジやSN比、ワウフラッター。

CDの上限は、決められるべくして決められました。 可聴域と言う問題もありますし、音源の音圧レベルも4KHz以上出るものもそうは多くありません。

サンプリング周波数の44.1KHzは、色々な妥協点で決められたようです。  レコード派の人には、CDは20,000Hzしか出ないんだと言う優越感がありました。

オーディオの黄金期のカートリッジは、20,0000Hz以上伸びているのが普通でした。 物によれば100,000Hz以上も伸びていたのです。


いくら再生能力があっても、レコードのカッテイングには限界もあります、それはレコードはCDより音が悪いのかその1 で述べています。

デジタル録音が主になって来ると、CDでは物足りないと言い出す人が出てきました。 それで、ハイレゾの登場となります。 サンプリングを上げて、情報量を

増やそうとなった訳です。 SACDの登場です。  高域は100,000Hzまで伸びた訳です。 おなじCDプレーヤーでコンパーチブルにするには、回路の変更は元より、

回転機構の変更が必要になります。 再生メディアは高く、それが為にメディアは一向に増えませんでした。4Kテレビのように、録音も従来のようではだめなのです。

それで、失墜してしまいました。  


実は、CD、アナログ、ハイレゾ共通の問題があることをご存じでしょうか。 再生帯域は伸びましたが、実はボトルネックがあるのです。


そう、録音です。 録音機ではなくマイクロホンです。 実は、マイクは20,000Hz以上は拾えません。  SACDソフトでも、20,000Hz以上が入っているのは先ず無いのです。

20,000Hzまでのマイクで、20,000Hzを録音するのは難しいですね.。 スタジオで使われているプロ用マイクは、ハイレゾには対応していないのです。


ましてや、コンデンサーマイク登場以前のマイクでは10,000Hz程度。 それ以前では、5~6,000Hzだったのです。

昔の録音機スタンダードの2トラ38センチオープンリール録音機は、高域は30,000Hz程度まで録音再生が可能な機種もありました。

アナログ録音機でも、デジタル録音機でもそれは大差ありません。 かくして、マイクの性能が上がらないまま数十年が経ちます。


ソニーは、数十年ぶりにハイレゾ対応のマイクを発売しました。 C-100ですね。 これは高域特性50,000Hzまでとなっています。

また、NHKではハイレゾ時代に対応する100,000Hzまでの特性を持つマイクを開発しています。 音と言うよりも、雑音レベルを拾うのです。

高性能なリボンツイターは100,000Hzを再生可能なので、意義は深いです。 いずれにしても問題は歪で、如何に歪率を低下させるかが重要課題になります。


レコードはCDより良いか悪いかと言うのは、ある意味無駄な討論で、どちらに優れた音源が入っているのかと言うことが重要なのです。

CDでも質の悪い録音は、レコードよりも劣るでしょう。 ハイレゾのソフトでも、機材はCDレベルならどうでしょうか。 アナログの優秀録音盤を、

4000万円のレコードプレーヤーで掛けたら絶品かも知れません。 聞きなれたCDを、300万円のエソリテックで掛けたら違う世界が見えるかも知れません。


ソニー C-38B   ソニー C-100   ノイマン U-87
50 年間、もっとも幅広く使われてきた
スタジオマイクロフォン
         
 ソニー C-38Bの周波数特性。   ソニー C-100の周波数特性。 驚異的な周波数特性。 50,000Hzまで伸びている。   ノイマン U87 Ai の周波数特性。
世界で最も知られ、最も使われてきた
スタジオマイクロフォン
         
 (※ 資料は ソニープロフェッショナル様の
ホームページより引用)
 (※ 資料は ソニー様のホームページより引用)     (※ 資料は ゼンハイザージャパン様の
             ホームページより引用)
マイクは100,000Hzの世界へ。 音楽録音用超広帯域マイクロフォンをNHK技術研究所が開発。    新しいマイクの研究開発
詳細はPDFファイルをご覧ください。
(※ 資料は全てNHK技術研究所様から引用)
  グリッド部の影響の周波数特性。6000Hzから100,000Hz。   超広帯域マイクロフォンの周波数特性。
         
     (※ 超広帯域マイクロフォン資料は全てNHK技術研究所様から引用)

マイクについて説明しましたが、オーディオは上流が基本です。 最も上流はマイクロフォン、最も下流はスピーカーシステムと言う事なのです。

ですから、レコードはCDより音が悪いのかと言う議論は成り立たず。 同じでなければならない、となるのです。 良好なシステムを使う場合、同じ帯域に限って言えば同じなのです。


ですから、CDも録音年が非常に大切になります。 CDに、ダイレクトで録音する環境は昔はありません。 多くはオープンリールに録音され、それがマスター録音となります。

そのマスターテープを、デジタル録音機で再編集しリマスター版を作成しCDを作ります。 つまり、元の音はではなくデジタル化されている可能性が多いのです。


リマスター化は元の音を弄ることになりますので、マスター録音の音とは異なる可能性があるのです。 多くはリマスターの際に、雑音などを除去(ノイズリダクション)し帯域補正や帯域カット

などの編集を行います。 古いテープの原音テープは磁気テープですが、使われずに保管されると、転写やテープ融合などが進み使い物にならなくなる恐れがあります。

ですから、リマスターは必要なのです。 必要悪と言っても良いでしょう。


オリジナルのマスターテープには、ヒスノイズが存在します。 同時にバックグラウンドノイズも収録されています。 また、収録時の機器のノイズも残留しています。

それが残っているのが、レコードとも言えます。 ノイズに関しては後世ドルビーノイズリダクションが多く採用され、聴感上除去されるようになりました

同じ曲がある場合アナログ録音盤(オリジナル発売レコード)と、同じ曲をCD時代になってからの再収録版での音が異なる理由はこの辺りに起因します。


ですから、オーディオファンの多くはオリジナルレコードを収拾し続けるのです。 

アナログ録音の時代も、機器の介在なしではレコードが制作できなかったのも事実です。 現場の音と、出来上がったレコード盤は同じ音とは限らないのです。

レコードもCDも基本的に、カッテイング音源CD収録音源の段階で音は大体決まってしまいます。 カッテイング時や、CDプレス時の素材など事後の変化もありますが影響はあくまでも音源です。


録音の仕方が、昔と今では相当違います。 先ず、最初に導入されたであろうものは帯域圧縮機です。 コンプレッサーと言ってますね。 ピークレベルコントロールになります。

生の音はエネルギーが半端ないので、マイクで拾えても飽和(クリップ)してしまいます。 クリップしたものは戻らず歪となります。 ギターのオーバードライブやディストーションはこの過入力の

歪ですね。 再生時歪まずに再現できる音の帯域を、ダイナミックレンジと言います。 やっと聞こえる音から、歪まず再生できる帯域です。 


測定法は一定の決まりがありますが、

自然界では大きなエネルギーの音は瞬時に発生しますので、そのピークを検出します。 ご存じのピークレベルメーターが、それです。 

テープのダイナミックレンジは、およそ60dbから65db程度。 レコードはおよそ65dbとされています。 テープ材質やテープ速度、カッテイングマシーンにより異なります。

CDのダイナミックレンジは、およそ96db。 人間の聴覚のダイナミックレンジはおよそ120db位とされています。 

 ※ S/N比とダイナミックレンジは、同じ意味ではありません。 S/N比は信号と雑音の比です。 ダイナミックレンジとは聞こえる音の最小値と最大値の比を言います。

S/N比が悪くても音や音楽は正常に再生されますが、ダイナミックレンジ以上の入力があると正常には再生されません。


よって、録音時にはメーターが降り切れないようにレベルを落として録音します。 落とした分だけ、再生時に雑音が目立つようになります。 それを改善したのが、ドルビーノイズリダクション

です。 通常の録音機はVUメーターであり、普通はVUメーター内にピークランプが付いており、過大入力時には点灯するのです。 ピークは瞬時なので、普通は連続点灯しないレベルまで

上げたのが、最大録音レベルとなります。 当然ながら、マイナスレベル時の方が高音は伸びます。


ピークVUメーター(イラスト)   TEAC  TC-6100MK2    1977年         ピークレベルメーター   SONY  TC-K555ESG    1989年 
           
           
           

オーディオの黄金期は、オープンリールデッキがプロ・アマ共に録音の主要録音機でしたが、性能自体は、オーディオ愛好家向けのハイエンド製品が優れていました。

プロ機器は、安定性と整備性、汎用性が最も重要視されます。 ある意味矛盾するのですが、最高の機械がプロフェッショナルの収録現場にあるとは限らないのです。 

これが、オーデイオです。

今ある理論は、20,000Hzまで再生しようとしたらその倍以上、までのスピーカーユニットが必要になると言われています。 音楽には雑音以外に、倍音も数多く含まれています。

その倍音が録音出来て、再生できてこそリアルオーディオとなるのです。 耳で聞く音だけじゃなく、耳で聞こえない音は体でも聞いているらしい、とされています。

CD開発時には、恐らく無かった概念かと思います。


良く言われることですが、リボンツイターなど可聴域を遥かに超えるスーパーツイターを追加すると音場の再現が変わると言います。 恐らくに、帯域の狭いCDでも

素の帯域内の音すら完全に出していなかったのでは、と言うことかも知れません。

筆者は、オーディオの黄金期、アパートで貧弱なスピーカーシステムを構築していましたが、スーパーツイターを追加すると確かに変わるのでした。



この項 終わり 続く

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