オーディオを知らない若者たち      2020.6.18



何を馬鹿なことをと言うかも知れませんが、色々な面でオーディオは認知度が落ちています。 


現在市場にオーディオ機器と言うのは、専門店でもないと置いておらず通販で知ることは出来ても、実際に手に触れ製品を比較する事や

視聴をするという事は難しいです。そう言う視聴室を持つオーデイオショップは、数えるほどしか無くなってしまいました。

つまりオーディオの構造不況により、日常の趣味の世界が非常に狭まれてしまったのです。


東京など大都市においても、オーディオ機器を選べて視聴できるのは大型家電量販店と秋葉原、及び数少ないオーディオショップ

だけになっています。 大型家電量販店はついでに見ることも可能ですが、視聴となるとハードルが高くなりますね。

知識豊富な販売員が常駐するとは限らず、不快な思いをすることも少なくありません。


オーディオの黄金期には、普通の電気屋さんでも其れなりの製品は置いてあったりしました。 所謂、ステレオ需要があったのです。

当時のステレオは、オールインワンタイプでしかもレコードプレーヤーがあるがために大型でした。 スピーカーボックスがセパレートに

なると、より場所をとる機器であり贅沢品であったと思います。 お決まりのステレオセットは、実は中身が貧弱で見栄えだけのものが

多く出回っていました。 スピーカーユニットなどは単体で売っており、アンプは自作が普通でありました。


現在の若者たちは、CD以後の世代(35歳以上)もっと言うなればMD以後(21歳以上の世代)だと思います。

MDの製造は20年間ですので(2013年終了)21歳から40歳くらい迄の方は、オーディオの黄金期を全く知らない人たちとなります。

音楽再生機器があれば、オーディオと言うのではありません。 オーディオと言うのはハイファイ=高忠実度再生のことですから、

オーデイオはそれの探求なり追及なりと言う事で、レコードやCDをたくさん集めて音楽三昧と言うのは、オーディオじゃないのです。


先に述べました通り、オーディオで最も問題なのはスピーカーシステムになります。 この50年間にも、様々な方式のスピーカーシステムが

開発されましたが、素材以外現状はほとんど変わっておりません。 最も遅れているのが、最も重要なアイテムと言う矛盾の世界が

いまだに延々と続いています。 ヘッドホンは逃げなので、オーディオと言うのには語弊を感じます。


音の出口のスピーカーシステムは、今や個人で構築するのは難しいと思います。 市販品の方がはるかに合理的で、良い音がすると

思います。  再生機器のCDやMDなどのデジタル機器は、基本的に再生帯域の違いはありません。 50万円の機器でも数千円の機器でも、

違いが判らないほどに少ないのがデジタル機器です。 これはデジタルアンプでも同じで、ワンチップIC採用のアンプでも大差はありません。

オーディオ3で述べていますが、聴取する状況で機材の必要能力は違ってきます。 50万円掛けなければダメな状況も確実に存在し、

ワンチップの手の平に乗る程に小さくても十分なこともあるのです。


アンプと言うのは、単なる信号の増幅が使命でそれ以上も以下も実はありません。 しかし、それが非常に難しいのです。

何も邪魔をするののがないのならば、機器と言うののは非常にシンプルに構築できます。

大きな箱も、重い材料も、厳重なシールドも想定される外部からの影響を防ぐ手立てなのです。 つまり、必要悪の塊となります。

厳重に固められたICチップの能力は、半端なく凄いものです。 ただ、オーディオの現場では使えません。


50年前の状況と現在は環境が違います。 電磁波を出す機器も、今ほどはなかった時代です。それでも、ノイズとの戦いはありました。

現在の若者諸君の周囲には、雑音を発生させる機器が取り巻いています。 スマホ、テレビ、パソコン、ゲーム機全てオーディオの敵ですね。

住まいも同様、冷蔵庫やら蛍光灯やら住宅機器は全て雑音を発生します。 

コードも然り、無造作に引き回したコードは雑音を発生させるアンテナになってる場合もあります。 

多くの機器は、それらの雑音を取り込まないように考慮はされています。 しかし、防御は不可能なほど難しいのです。


外的要因をシャットアウトするのが、最低限の方策です。 その状況が、設計時完成状態のアンプの環境ですが、内部からも膨大に

ノイズは発生します。 デジタル機器であれば、その上にデジタル機器特有のノイズが加算されます。 

シンプルイズベストですが、実はそうは問屋が卸さないのです。 そのこともオーディオ3 でご確認ください。


多くの方は、CDやレコードの本当の音を知りません。 本当の音とはどう言うものなのか、それを探求するのもオーディオになります。

普通のスペックの20から20000HZの帯域も、機器により出る音は違ってきます。 測定器を通して同じようなスペックでも、違ってきます。

同じCDを異なるアンプで聞いてみると、違いに気が付くと思います。 同様に、同じCDを異なるCDプレーヤーで聞いても違って聞こえると

思います。 とても微妙な差かも知れませんが、その違いがオーディオなのです。




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