マルチチャンネルアンプシステムは究極のオーデイオシステムと言われた。

オーディオの黄金期にはアンプを製造するメーカーは、全てと言って良いほど

チャンネルデバイダーを発売した。理由は至極簡単、アンプがたくさん売れると踏んだのだ。

しかし、実際はそうはならなかった。スピーカーの数だけパワーアンプが必要であり、
一般向けには小型のパワーアンプを発売する必要があった。
オーデイオファイルの中にはチャンネルデバイダーが入ることの音質の劣化が、
マルチ駆動を阻害するのではとの意見も多々あった。

本来のマルチ駆動は、それぞれに異なるスピーカーユニットのレベルを揃えることだった。
それならばと、帯域のレベルを任意に変えられるグラフィックイコライザーも多くが発売された。
高級品にはマイクが付属していて部屋の音響に合わせて加減するのだ。

中にはグラフィックイコライザーとチャンネルデバイダーを併用する輩も出現した。

勿論、周波数特性が平たんになるのは理想ではあるが所詮作られた音になる。

素のままの音はどこかに行って、全く違う性質の音になるのは否めない。

 

現在も発売をしているアキュフェーズのチャンネルデバイダーは是非内部を見て頂きたい。
半端じゃない物量と品質の高さに驚き納得するだろう。

 

 
 
 
 
 
 


チャンネルデバイダーと従来からのデバイディングネットワークとどこが違うのか、

ネットで評論家の林正儀(はやしまさのり)氏が大変分かりやすく説明している。

ここに一部紹介したい。

 

ホームシアターチャンネル 林雅儀のオーデイオ講座

 

従来のコイルとコンデンサを使うLCネットワーク。 HPFはハイパスフィルタ。

BPFはバンドパスフィルタ。LPFはローパスフィルタの略である。

HPFはハイ(=高域)をパス(=通す)のでHPFと言う。以下同様である

コイルの巻線とコンデンサの数値でカットオフ値が変わる。
また単純な6dbと急俊な12dbなどが自由に設定できる。

この組み合わせだけではスピーカーユニットのレベルを調整できないので、
アッテネーターをいれて減衰させる。勿論上昇は出来ない、下げるだけである。

通常はウーファーは能率が低く、スコーカーやツイターは能率が高い。

ホーン型はホーン効果で更に音圧が上がる。これを下げるわけである。

 

ここには絶対的な問題点がある。 つまり総じてレベルが低下するのだ。

このレベルを補うためにはアンプのパワーが必要となる。
状況によってはパワー不足にもなるのだ。 これをドライブ力不足と言う。

 

これを解決するのは、LCネットワークに変えてチャンネルデバイダーを付け
各スピーカーユニットにそれぞれをドライブするアンプを割り当てるのが最適となる。

非常に物々しいシステムになるので、場所も予算も必要になるだろう。

 

ただ精神衛生的に言えば、1万円や5千円のスピーカーユニット個々に
10万円のアンプやらチャンネルデバイダーを使ってどうなのかと言うのも事実だろう。
3ウエイならばアンプで30万円もかかってしまう。
方や鳴らすスピーカーユニットは5千円や1万円だ。

 

 
 
 
 ※イラスト図は林正儀様のホームページより引用しました。

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