無意味ではない。


1982年のCDが登場している。CDは44.1KHz可聴域の2倍のサンプリングである。つまり22,050Hzまで高域が確保される。それ以上は急峻なローパスフィルターでカットされる。実際この規格が採用されるには、日本とヨーロッパで何度もテストがなされたらしい。そして人間は20,000Hz以上の音を認識できないと言う結論に達してサンプリングが44.1KHzになったと言う。しかして、1999年SACDやDVDオーデイオが規格化されるまで17年間はCDが主流であった訳である。実際の録音には20,000Hzの音はほとんど含まれないが、ごく一部のオーケストラの演奏には含まれるとされる。
実際の音楽信号にはない歪が乗った場合、それは感知可能なレベルであった場合音として聴こえるということもあるらしいが、定かではない。

アンプは単純に増幅するのが使命であるから、歪は避けなければならない。ノイズも当然であるが乗ってはいけない。これらは比較的簡単に対処は出来てきたように思える。しかるに、デジタルは音そのものを変換するので、問題は簡単ではない。変換ミスによるあらゆる問題は、あらゆるフイルターでろ過されアナログとして出力される。これは電気信号、電子にフルマラソンを強いていることとなんら変わらない。AD変換には各種があるが、ΔΣ(デルタシグマ)変調と言う変換が主に利用される。原理的に必ず発生するノイズはフィルターを通して減少させる。高級機ではADコンバーターを左右別にしたり、更に並列に使用することによりSN比の向上をはかったりビット数を上げるマルチDACが採用されるが、大変に高価になる。エソテリックの最上機種では両チャンネルで32個のDACが使用されている。

CDを超える音源はハイレゾと言われ、ヘッドホンシステムにも組まれる時代になってきた。
しかし、ソースはまだまだ多いとは言えないだろう。

CDに限るならばフォーマットはPCMの44.1KHzサンプリングの比較的狭いとされるフォーマットである。
PCM音源を変換する場合ビット数が上げれば上がるほど、解像度は向上する。
この原理を利用して、既存のCD音源もとのCDの情報を拡張するがアップコンバートであり、24ビット、32ビット~36ビットまで機器の性能に依存する。サンプリングは元の音に数値を補完する。01、03、05ならば01、02、03、04、05と補完される。これはパソコンの拡大縮小と同じ原理だ。音楽信号をどのように補間するかは、アルゴリズムによって決められる。24ビットならば、情報量がほぼ6.5倍に増加する。32ビットではほぼ17倍の情報量となる。
しかし、情報と音質の向上は比例はしない。
アップコンバートされた音は疑似音であり、CD化されたものを更に符号を変えた物には違いがない。
人間は許容応力に勝るので、充分に満足できる音にはなる。DENONのCDプレヤーに採用のAdvanced AL32 ProcessingやAdvanced AL24Processing
は、多項でも述べているがDENONのホームページで「連続的に変化する音楽信号から本来あるべきデータを推測し、デジタル変換の過程で失われた本来のアナログ信号の滑らかな波形を再現します」とある(原文のまま引用)。デジタル化で失われるデータは確実に音質を劣化される。
「素」のままのデータが真実とは限らないジレンマがある。
なお、同様の物にはアップスケーリング(帯域拡張)も存在する。

実際のCDの録音は、限度の22,050Hzをフルに活用している訳ではない。15,000Hzに達していない物も多く有るのが事実だ。
別項でも述べているが、CDの場合録音機材や、リマスタリングの質など様々な要因が存在する。まだまだ改善の余地が有るのがCDで、充分な能力を発揮しているとは言えないのが現状だと思う。最新の機材による録音盤は優秀で、多くの場合はSACDの存在も必要とさせないであろう。
SACDは消滅の危機にあるが、パソコンで再生できないなど根本的に時代にそぐわない点が普及のネックに拍車をかけている。

普及のネックとなっているのは、MP3などの圧縮音源だ。手軽にCDからリッピングでき、ファイル容量が軽く何よりも音質が必要にして充分なことによる。MP3の音質からすれば、CDは遥かに高音質でありハイレゾなのだ。
当初は携帯型のCDプレーヤー、CDウォークマンなどもあったが不便であった。CD以後のソニーはMP3を採用しておらず独自のフォーマットであり、マイナスになったことは否めない。
MP3において128Kbpsが最も標準的なビットレートであり、最高が320kbps。128kbpsでは15,000Hz位まで、320kbpsでは22,000HzとCDレベルになる。
実際の音域は機器によりフィルターが掛けられるケースがありさまざまである。高域を伸ばすと間引きが多い分耳障りな音にもなる。
ヘッドホンシステムなどでは、オーディオファン以外には不満がない音質と言える。


ちなみに、筆者所有のカセットデッキTEAC A-800(2010年発売)の性能は、50-12,000Hz、SN59db(69dbドルビーNRオン)、
USB部分128kbps、20-20,000Hz(320kbps再生)、20-15,000Hz(128kbps録音)、SN比85dbであり、
数値だけだとMP3の方が再生能力が上まっている。



BACK