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デッキの周波数特性を見る その4

5台はカセットデッキだが、A-2300SRはオープンリールテープデッキ。末尾のRはリバース機のRである。

カセットデッキが誕生する前の録音機器。テープ速度もテープの幅も倍あるので性能が良くて当たり前だが、機材が大きい分消耗も激しくなる。
この個体はかなりくたびれているので、走行の安定性はカセットデッキに及ばない。
ティアックA2300SR

0dbでも20000Hzまで余裕で伸びている。20000Hz-3db。
メーカー発表の周波数特性は、30-28000Hzである。所有の個体は走行の安定性が悪く、ドロップアウトもどきが多い。全ての金属部品が
摩耗しており、ピンチローラーも同様である。よって、高域の暴れは現状の個体の性質として理解したい。通常は綺麗なラインになる筈である。
再々調整後。
これも乱れがあるが、高域の僅かな上昇はテープの差によるもの。
充分に20000Hzをクリアしている。
再々調整後。ノーマルテープだが高域の上昇がある。
どこのノーマルテープかは不明。
   同じリールに3種類のテープが巻かれていたので個別に測定。
色から3種類ともノーマルテープではない。
 同リールその1  同リールその2
 
同リールその3 再々調整後。この高域の上昇はSLHテープに似ているが、
バックコーテッドでないので違う。
   
 スコッチ203LHRテープ。
やや高域の上昇のピークが低い特徴がある。
 走行の安定性が悪いが調べたら、203LHRテープであった。
   
 再々調整後。スコッチ203LHRテープ。  再々調整後。不明テープ。SLHテープのような高域の上昇だが、
SLHテープではない。
ソニーSHLテープ。バックコーテッドテープである。 リーダーテープが付いたままなので、切り貼りはない。
(注:箱はソニープロフェッショナルテープ)
 再々調整後。SLHテープ。バックコーテッドテープだが、
全体に暴れが酷い。
 同じテープでも走行により特性は異なる。
   
 ソニーESテープ。 再調整後。ESテープは思いのほか健闘した。
同テープでも右のような違いが出る。 
   
再々調整後。平坦な特性はESテープの本領である。  
  スコッチ203LHR、SLHテープ、ESテープは切り貼りをしていないが、
ほとんどの150テープは切り貼り(編集)をして保存していた。

確かにSLHテープの特性は素晴らしく、マスターレコーディングと銘打つ
だけはあった。

A-2300SRにはテープセレクターが2種のみ。基準テープはTDKらしい。当時の競合他社、ソニーテープは使わないのが暗黙の了解だ。
スコッチテープを基準とせず、多くの国内メーカーは国産のテープを基準とした。スコッチテープはやや癖が有るのだ。
TDKのテープは音が良いというか素直なのだ、ただ最大の欠点は粉落ちは多いこと。
これはカセットテープでも同じで、それが為に好んで使用はしなかった。当時のスタンダードなミュージックテープは、
TDKであったとされるが確かではない。

当時使用したオープンリールテープは、ソニー、TDK、スコッチ、ナショナルである。

 
かつては38cm2トラックのオープンリールテープデッキも使用したから、今回の結果には感慨深いものがある。
絶対的なものは、オープンリールテープデッキに敵わないが使い勝手を考えると、充分にカセットデッキは用を成す。

低域や高域の味付けは、CDから録音した方が音が良いと言われる所以であろう。また、
周波数特性は充分に広く、CDに勝るとも劣らない音質を楽しむことが出来る。
また,
A-2300SRはオープンリールテープデッキだけあって、帯域はCD以上に広く録音機器として不足はない。
ノイズやワウ・フラッター等には負けるが、それ以上の面白さがあると言える。

2トラ38はまさに最高の水準なのだけれど、非現実的なのも間違いがない。普通に10号リールテープが必要で、FMエアチェックや
レコードの録音にはオバースペックなのだ。とにかくランニングコストが高い。それ故に手放してしまった。
 
 


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