往年の機器に残された時間

2017.10.30 


ずーっと貧乏していて(今でも大差ないけど)、もうこの年になると昔の機器が懐かしく思われます。

実際に音を出すとなると、そこはやはり技術の進歩があって新しいものほど良いのは変わらない事実です。


しかし、往年の機器がそんなに見劣りするかというと・・・、実はそうでもないことに気づきます。

貨幣価値が違いますが、当時のそこそこ上級製品(ハイエンドではありません)は、仕上げが素晴らしいのです。

当時と同じようなこだわりで現在作ると、とんでもない価格になります。 もう、素材も価値が上がってしまっているのです。


オーディオ全盛期は、今から40年や50年も前の世界です。 その当時は家電メーカーがしのぎを削っていました。

ハイエンド品を除き、高級品は10万円から15万円、中級品は59800円(ごっきゅっぱ)がメイン。それぞれに組み合わせが必要ですから

高級品は一式(アンプ・チュナー・デッキ・LPプレーヤー・スピカー)で60万円から100万円。中級品で40万円くらいのシステムになった訳です。


貨幣価値からすると、300万円。200万円でしょうか。 当時の59800円のアンプの性能は2万円で出せる時代になりました。

つまり、今では当時の中級品システムが12万円くらいで組めます。 音は正直、差がないと思います。

もうこの時点で、なぜオーディオが衰退したのかお分かりだと思います。 大艦巨砲主義の時代は終わったのです。

コストをかけられない時代がやってきて、ほとんどのメーカーがオーディオから撤退もしくは廃業しました。


中古店では、そんな当時あこがれの機器、到底買えなかった機器が売られています。

当時の10万円オーバーの機器は絶対に買えない物でした。 当時のスピカーも良いものが多く、国産のスピーカーは頑張ってましたね。

今見まわすと、ほとんどが海外製品です。 そういう我が家も、3組あるスピカーは全て海外製しかもイギリス製という有様です。


当時はコンピュターもなく、人間の耳と測定器の曲線だけに頼っていた時代でした。

ですから、ある意味現在の機器とは音の出方がまるで違うのです。

今我が家にある、もっとも小型で安価なB&W685は、当時私が組んでいた自家製マルチスピカーより、多分良い音がしていると思います。

しかし、当時のような音が出るかというとそれは無理と思います。


       
左:2012年構築の6畳オーディオ

右:1971年構築の4.5畳オーディオ


まとまりの良い音はB&Wにかないません。

当時の優しい音は当時のシステムでしか出ないのも事実です。

CDのない時代の音です。
当時のシステムで、CDを鳴らしたら、また違った印象かも知れませんね。


当時使用のアンプと現在のアンプ。

   
左:1975年使用59800円のアンプ。

右:2012年から使用の360000のアンプ。

     
サブとして2012年購入したアンプ。価格は1975年当時のアンプとほぼ同じ。(実売5万円台)

メインで使用のアンプとは、どことなく違う音がします。価格の差はあります。

このアンプが当時のアンプと比べて鳴らした場合、どのような音がするのかは

興味のあるところです。






今当時のアンプで買えなかった機種に懐かしさを覚えています。 それはヤマハのプリメインアンプとソニーのプリメインアンプです。

YAMAHA CA-2000 158000円 1976年   SONY TA-1120F 138000円 1972年 
     
 画像は「オーディオの足跡」様から引用  


今使用のDENONのアンプよりは価格が低いですが、貨幣価値でいえばほぼ同じになります。

DENONはトランス重視の作りですが、この二機種は当時の最先端の技術で作られています。

特にヤマハのスタイリッシュさには目を奪われます。  ソニーはクールです。

どちらもトランスは同じぐらいの大きさです。重量はヤマハが20キロ、ソニーが13キロと大分差があります。

今から40年~45年前の旗艦機種でありました。


BACK