不思議な感覚の絵 2018.5.26



我が団地から歩いて10分ぐらいの所に、市の施設があります。 大きくはありませんが、図書館の分室もありわりと立派な施設です。

入り口入ってすぐに、2メートル程の目立つ大きな絵が飾ってあります。 

見ていて、ちょっと不思議な感覚になりました。 色鮮やかでどちらかと言えば繊細。

よくよく見ていると、ちょっと違います・・・。 つまり、写実的なのだけれど実写的ではないのです。 どうも異和感(違和感ではありません)を

覚えるのです。 それは、微妙に異なる遠近感の作風と思います。 実は順天堂にも他の作者の洋画が飾ってありますが、同じ異和感を

いつも覚えているのです。 逆に言えば、その異和感がゆえにどうしても絵を熟視してしまうのです・・・。

あれ・・・、これ違うかな・・・っていつも思うのです。 

私は絵描きですので、その意味ではとても敏感な面があります。  しかし、それらの絵は決して絵としてダメなのではなく

強烈な個性なのだと認識しています。 これはピアノなど音楽の世界にも当てはまりますね・・・。

つまり、写真ではなくて絵でしか成しえない表現を感じると言って良いのでしょう。

この絵は日展会員でもあって浦安市に長く居住され、2013年に85歳で没された「菱田義宣」さんの作品と思われます。

絵の右下、雑誌の中にサインがあります。


板目のフローリングの洋室

カウチソファー

テーブル

花瓶

カーテン

開け放たれたドア

テーブルクロスとお皿とナイフ・フォーク

ハイヒール

飾られた田園風景の絵

そして

開かれた楽譜の載ったグランドピアノ

これらの一つ一つが、とても 非現実的のようですね。 構図的には人物を軸とするしっかりとした 二等辺三角形となっています。

非常に考えられたものと思います。   この方の洋画は比較的シンプルなものが多い中で、とても密度の多い描写となっています。

アンバランスなバランスが不思議な魅力を醸し出す、名作と思います。  突っ込みたくなる所も多々ありますが、「いや・・・これはね・・・」と

逐一解説を言われそうな絵なのです・・・。

見ていて飽きの来ない、素晴らしい作品と思います。

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