東京写真 オーディオ 長岡鉄男氏のスワン東京写真オーディオスペシャル

長岡鉄男氏のスワン






今は亡き、長岡鉄男氏。面識もなければ、そのスピーカーの音も聞いたことがない。
しかし、
私は紛れも泣く長岡鉄男氏の信者である。

今から数十年前、氏のスピーカーはオーディオを志す物にとって大変な存在であった。
なにせ、自作なのである。勿論スピーカーは市販品だが特別なものではない。
フォスターの小型フルレンジ一発。しかもBOXは合板を切断して張り合わせて作る完全自作BOXなのである。
たいがいがバックロードホーンシステムで、自作しやすいように、合板を直線的に切って開口部を開けるという
単純なものであった。
当時は3WAYやら4WAYさらにはマルチアンプ駆動など、スピーカーを帯域別に小分けして見かけの周波数曲線を
フラットにするシステムがほとんどであった。しかしながら、マルチは点音源にならない。
さすれば定位はぼやけ、音像もぼやける。しかもネットワークが入ることにより音は劣化する。
そのうえ高価である。
その欠点を補うべく、素のままで鳴らす・・・・。その原点としたのが、小型スピーカー・フルレンジによる単発システムであった。

合板による角ばった姿ではあるが、白鳥のごとく首がすっと伸びたスピーカーシステムの傑作「スワン」がことの外有名である。
信者なら誰でもが工作に挑戦する優れものであるが、私は工作することはなかった。
理由は簡単。合板を買うお金が無かったことと、すでに自作のシステム等で部屋が狭く、ままにならなかったからである。

ただ、8センチとか16センチなどのスピーカーは(勿論フォスターの)買って鳴らすことはあった。

スピーカーはバッフルがなければ鳴らないが、バッフルがあることにより音が乱れるのは事実である。それが故に、
中高音部を小さな箱に閉じ込めて回析の影響をなくす試みは実に正しい。それがスワンの頭部である。
ネックは、背面から出た音響エネルギーをバックロードとして低音部を増量するホーンとして成立させている。
なかなかに優れたシステムだと思う。

前項で紹介した、スキャンダイナのシステムはそのような発想から形状が考案されているのだ。
故に球面であり、小型なのである。
イクリプスのシステムも同様である。このような球面の形状は恐ろしく定位が良くなり、音場が拡大される。
いわゆるスピーカーが消えるという状態になるのだ。


それほどに良い物なのに何故に普及しないのか?
それには理由がある。

それはここでは述べるのは控えたい。

いつかは解ることが明白だからである。



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